マツダは、ロータリーエンジンで発電し、モーターで駆動するプラグインハイブリッド車(PHEV)を2020年に発売する。欧州や中国、米国などの環境規制への対応を見据える。発電専用にすれば、低回転・低トルク域で熱効率が低いロータリーの弱点を抑えつつ、静かで小さい強みを生かせる。小型車に搭載する可能性が高い。

 マツダが発電用ロータリーを開発するのは、その出力を車輪に直接伝える通常のエンジンとしていずれ投入するための布石といえる。マツダ社長の丸本明氏は、「ロータリーで走るクルマを造ることは、マツダの夢。実現する経営環境をつくるのが私の任務」と心意気を示した。開発中のFR(前部エンジン・後輪駆動)車に搭載できれば、「ロードスター」に並ぶマツダを象徴する車両になるだろう(図1)。

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図1 次世代発電専用機はロータリー搭載FRへの布石
(a)2015年の東京モーターショーで発表したロータリーを搭載するコンセプト「RX-VISION」。FR車とみられる。(b)2007年に発表した「16X」と名付けられたロータリーの試作機。(bの出所はマツダ)

 発電専用の次世代ロータリーは、ハイブリッド車(HEV)とPHEV、EV(電気自動車)の3種類の電動車両で使い分ける(図2)。基本的に共通のロータリーを使いつつ、HEVには高出力の発電機と小容量の電池、PHEVには高出力機と中容量電池、EVには低出力機と大容量電池を搭載して造り分ける注1)。2020年には、EVの枠組みに入るPHEVを投入する。

図2 ロータリーは小さい
(a)発電用ロータリーをエンジンルーム内に搭載した様子。(b)2気筒の発電用レシプロエンジンを搭載した場合に比べて、大幅に小さい。2気筒エンジンと比べるのは、ドイツBMWの航続距離延長EV「i3」などを意識したとみられる。(出所:マツダ)
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注1)内燃機関であるロータリーを使うにも関わらずEVを含むのは、マツダはロータリーと大容量電池を搭載するPHEVを、EVの一種とみなすためである。EV航続距離が長くエンジン駆動力を車輪に伝えないPHEVは、「レンジエクステンダー(航続距離延長機能)EV」とも言われる。技術上はPHEVの一形態だが、地域の規制によってはEVに準ずる枠組みに入る。

 マツダは「RX-8」の生産を2012年に中止して以来、ロータリー搭載車を販売していない。厳しくなる排ガス規制に対応しにくくなったことや、実用でよく使う低回転・低トルク域の熱効率が低いことが要因である。発電専用にとどめればロータリーの低効率域を避けて、高効率域に絞って動作できる。弱点の低回転・低トルク域は、モーターで力を発生できる注2)

注2)マツダでエンジン開発を統括する人見光夫氏(常務執行役員)は、発電専用ロータリーの主な動作域における熱効率は、「一般的なレシプロエンジンに比べて優れるとはもちろん言わないが、それほど悪くない」と狙い通りになったと示唆した。

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