「ローカル5G」は、大手通信事業者ではない一般企業や自治体などが主体となって個別のニーズに応じて構築する局所的な5Gネットワークです。5Gとは、第5世代移動通信システムの略称であり、「超高速(eMBB:enhanced Mobile Broadband)」「多数同時接続(mMTC:massive Machine Type Communications)」「低遅延・高信頼(URLLC:Ultra-Reliable and Low Latency Communications)」の3点を特徴とした次世代規格です。移動体通信技術の国際的な標準化団体である3GPPが定めたRelease15以降の通信規格に準拠したものが5Gと定義されます。

自治体などが地域のニーズに応じて設備を整備

 5Gと言えば日本国内では、NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンク、楽天モバイルの計4社が2020年に始める「全国規模で提供する5Gネットワークサービス」を指すのが一般的です。一方でローカル5Gは、「地域や産業の個別のニーズに応じて、自治体などが主体となって独自に構築する局所的な5Gネットワーク」です(図1)。

図1●ローカル5Gの特徴と想定用途
出典:総務省「第5世代移動通信システム(5G)の今と将来展望」(2019年6月27日)を加工して作成(http://www.soumu.go.jp/main_content/000633132.pdf)
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 ローカル5Gの“ローカル”の意味合いは“局所”であり、欧米では“Private”と表現されています。つまり、幅広いニーズに応じた“最大公約数的”なネットワークではなく、個別ニーズに応じた“局所最適”のネットワークです。

 このため、ローカル5Gの免許制度には特徴があります。例えば、NTTドコモなどの全国規模のキャリア(通信事業者)はローカル5Gの事業免許を取得することができません。一方で、通信技術のノウハウがない自治体でも、ローカル5Gの事業免許を取得することができます。

 総務省がこうした免許制度を制定したのは、全国規模のサービスを展開する全国キャリアがローカル5Gの事業主体になると、どうしても“かゆいところに手が届かなくなる”ためです。局所的なニーズにきめ細かく対応できるようにするために、小回りの効く多様な事業者を呼び込む狙いがあります。ローカル5Gサービスに関わる事業者としては、CATV(ケーブルテレビ)事業者、基地局装置のベンダー、自治体、鉄道会社など、幅広いプレーヤーが想定されています。

 ローカル5Gのネットワーク構築において重要なポイントは、ローカル5Gに用いる周波数と、衛星通信などの他用途で利用されている周波数との間で電波干渉を防ぐことです。そのため総務省は、他の周波数帯と干渉が生じにくい28.2G~28.3GHzの100MHz幅の帯域を、他の周波数候補帯に先んじてローカル5Gの周波数として制定しました(図2)。

図2●ローカル5Gの候補帯域と制度化のスケジュール
出典:総務省「第5世代移動通信システム(5G)の今と将来展望」(2019年6月27日)を加工して作成 (http://www.soumu.go.jp/main_content/000633132.pdf)
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 この周波数帯は電波の波長が1cm以下程度であることから“ミリ波”とも呼ばれ、直進性が強いうえに水蒸気などに吸収されやすいことから電波が200m程度しか飛ばないという特性があります。その半面、自営BWA(Broadband Wireless Access)で利用される数GHz帯のような“面的なネットワーク”とは異なり、“局所的なネットワーク”を構築しやすいのがメリットです。

 ローカル5G向けの28.2G~28.3GHzの周波数帯については、2019年末頃までに総務省で制度化が完了し、免許申請の受け付けが開始される予定です。残りの周波数帯(4.6G~4.8GHz帯、28.3G~29.1GHz帯)も、2020年7~8月頃に制度化が完了し、免許申請の受け付けが始まる見通しです。

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