コンセッションが導入された空港の1つである福岡空港(写真:日経コンストラクション)
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 国や自治体がインフラの所有権を持ったまま、民間の事業者に一定期間の運営権を売却すること。民間事業者は施設の利用者から利用料などを受け取る。インフラの利便性向上や維持管理に民間のノウハウと資金を活用しようとする制度で、財政の苦しい自治体やインフラ関連の事業拡大を目指す建設産業などから注目を浴びている。

■コンセッションの重点分野の進捗状況
2019年4月25日時点。公営住宅での導入が伸びており、東京都、大阪府、愛知県、神戸市などで運営権の設定や実施契約の締結に至っている。内閣府の資料を基に日経コンストラクションが作成
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 コンセッション方式のインフラ運営は、2011年の改正PFI法施行で可能となった。土木系のインフラで最も普及しているのは空港だ。内閣府が19年4月に公表した資料によると、空港に対するコンセッションの実施または検討中の件数は17件あり、半数を超える9件で運営事業が始まっている。関西・伊丹空港や仙台空港、神戸空港、福岡空港などだ。新千歳空港を含む北海道内の7空港や広島空港が、事業者の公募や実施方針策定の段階まで進んでいる。

 空港以外では、下水道でコンセッション導入の実績がある。浜松市で事業が始まったほか、高知県須崎市で事業者の公募手続きが進んでいる。道路は愛知県の有料道路で16年に始まった1件にとどまる。

コンセッションが導入された愛知県の有料道路。知多半島道路と知多横断道路をつなぐ半田中央ジャンクション(写真:愛知道路コンセッション)
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 インフラの中で水道はライフラインとして重要度が高く、コンセッション導入による維持管理の効率化が特に期待される半面、「民営化」に対する市民の不安や批判の声も根強い。大阪市と奈良市が関連条例案を議会に提出または公表しているにすぎず、コンセッション導入の進捗状況は低調だ。調査段階の市の1つである浜松市は、19年1月に水道コンセッション導入の検討を凍結し、鈴木康友市長が同年4月に4選を果たした後も検討の再開は未定としている。国の新たな制度設計を待つ構えだ。

 水道を所管する厚生労働省は、コンセッション促進を目的とする改正水道法が18年12月に成立したのを受け、19年10月の施行を前に「地方公共団体事業型」水道コンセッションのスキームを新たに検討している。19年5月に開いた「水道施設運営等事業の実施に関する検討会」の会合で、水道コンセッションの手引きの改訂案を公表した。

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