クルマを所有することなどで得られるモビリティ(移動性)をサービス化する考え方のこと。「Mobility as a Service(モビリティ・アズ・ア・サービス)」という英文の頭文字を取ってMaaS(マース/マーズ)と呼ぶ。ソフトウエアやコンピュータの分野で「所有」から「利用」への流れをつくった「アズ・ア・サービス」の考え方を、自動車などが担う人の移動にも適用する。自動車産業のビジネスを一変させる可能性がある。

 クルマを複数の利用者が共同で使う「カーシェアリング」、クルマに相乗りする「ライドシェア」などのサービスが代表例だ。スマートフォン(スマホ)の普及やIoT(インターネット・オブ・シングズ)の広がりによって、移動したい人と車両を瞬時に結び付けられるようになった。そこに注目して生まれたシェアリングサービスが「利用」のハードルを下げ、コストがかさむ「所有」からの切り替えを促した。MaaSには明確な定義があるわけではないが、スマホでタクシーを呼び出して乗車後の決済もできる「配車アプリ」もその一種と言える。

 MaaSをクルマのサービス化だけでなく、鉄道などの公共交通機関や自転車をも含めたトータルの移動サービスとして位置付ける企業もある。欧州企業中心の団体であるMaaSアライアンスは「複数の交通サービスを、オンデマンドで利用できる単一のモビリティサービスに統合すること」とMaaSを定義している。欧州の一部ではスマホのアプリで鉄道やバス、タクシー、サイクルシェアなどの複数の移動手段の中から最も適切な組み合わせを選び、決済できるサービスも始まっている。月額定額制で乗り放題というサービスもある。

トヨタ自動車が2018年1月に発表したMaaS向けEVのコンセプト車「e-Palette」
(出所:トヨタ自動車)
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メーカーからMaaSのプラットフォーマーへ

 トヨタ自動車の豊田章男社長は2018年1月、米ラスベガスで開催された展示会「CES 2018」で「モビリティサービスのプラットフォームをつくる企業になる」と宣言した。乗用や物流などを想定した企業向けの自動運転EV(電気自動車)のコンセプト車「e-Palette」を紹介し、ライドシェア大手の米ウーバー・テクノロジーズ(Uber Technologies)や中国・滴滴出行(Didi Chuxing)、ネット通販最大手の米アマゾン・ドット・コム(Amazon.com)と協力して実証すると発表した。米国や欧州の自動車メーカーも、同様のサービス化に力を注ぐ方針を2016年ごろから相次いで表明している。

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