PoC(Proof of Concept、概念実証)は、これまで利用経験のない新しい技術や製品などを活用してシステムを構築したり、以前はなかった新しいサービスを開発したりするときに、そのアイデアや計画の実効性を検証することだ。実際のシステム構築の前工程として実施し、技術的な実現可能性を確かめたり、新サービスが事業的に有効なことを立証したりする。

 これまでPoCを実施する目的は、求めるシステム性能を実現できるかや利用する製品・サービスの仕様による制限は問題ないかといった、技術的な検証が中心だった。例えば、基幹システムの刷新に向け、メインフレームからオープン系の基盤へ移行できるかをアプリケーション変換ツールを使って検証する、新しいデータベース基盤の構築のために、実データを使って処理性能を検証するなどだ。

 新しい技術や経験のない技術を採用する際、注意すべきポイントを把握できていないと、設計や開発のフェーズに入ってから、要件を実現できないことが判明する可能性がある。それによって、システムのアーキテクチャーの見直しが必要になったり、要件そのものを見直さなければならなくなったりする。そうした事態を防ぐために、要件定義の前段階で適切なPoCを実施する必要がある。

 最近では、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する機運の高まりに伴い、新システムや新サービスの事業的な有効性を検証するためのPoCを実施するケースが増えている。例えば新しく立ち上げるサービスが収益を生むかどうか、顧客が望むサービスになっているかどうかは、重要な検証項目である。

 新技術が事業的な有効性に大きく関わるケースも増えている。その典型が、AI(人工知能)やIoT(インターネット・オブ・シングズ)といった技術を利用する場合だ。例えばAIを使った予測データを顧客サービスに利用したいという場合、売り上げ増や業務改善といったビジネスの視点、顧客にサービスが必要とされているといったユーザーの視点に加えて、AIでその予測を実現できるか、機械学習モデルの予測精度はどのくらいかといったテクノロジーの視点の検証が必要になる。

AIを使った新サービス開発におけるPoCでの検証内容と評価指標の例
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 技術検証の部分だけを特に、PoCと呼ぶこともある。その場合、事業的な有効性検証についてはPoB(Proof of Business)と呼んで区別することが多い。