オムロンは、卓球ロボット「フォルフェウス(FORPHEUS)」の最新版(第6世代)を「CES 2020」(2020年1月7~10日、米国ラスベガス)に出展した。最新版では、ゲーム大手のスクウェア・エニックスと提携し、同社の人工知能(AI)を活用した(関連記事)。AIが対戦相手のスキルや感情を分析し、モチベーションが高まるようなラリー(打ち合い)を演出。会場で人気を博していた。

オムロンの卓球ロボット「フォルフェウス(FORPHEUS)」第6世代(写真:日経 xTECH)
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 フォルフェウス最新版に用いたAIは、ゲームにおいて全体をコントロールする「メタAI」と呼ばれるもの。ゲームでは、プレーヤーのスキルや感情に応じて配置する敵キャラクターの数や場所を調整し、ユーザー体験を最適化する目的で使っている。これを卓球に応用した。具体的には、対戦相手の心拍や表情などからスキルと感情をメタAIによってリアルタイムで推定。感情をどう動かせばモチベーションが高まるかというシナリオを「ラリー計画」に変換し、この計画に基づいて打ち返すコースや球種、スピードを調整する。

 オムロンによれば、従来版では、ラリーの継続に重きを置いていたため、ややもすればフォルフェウスの打つ玉のコースやスピードが画一的になるきらいがあった。最新版では、対戦相手が退屈気味だと判断すれば厳しいコースを突いたり、左右に振ったりする。逆に、対戦相手がうまく打ち返せていない場合、打ちやすいコースやスピードにする。このように対戦相手のスキルと感情に基づいて難易度を適宜調整することによって、モチベーションを常時最大化し、「ゾーン」や「フロー」と呼ばれる極度の集中状態を生み出しやすくなる。

 デモンストレーションでは、対戦相手のスキルと感情の分析結果をディスプレーに表示し、リアルタイムでラリー計画を作成する様子を見せていた。感情の分析結果は、やる気も余裕も失っている「Sad」、やる気はあるが余裕が無い「Angry」、余裕がありすぎて退屈になりつつある「Relax」、やる気も余裕も最適な「Happy」という4象限マトリックスで表現していた。ラリー計画は、Happyの状態に誘導することを目標としている。

対戦相手の感情を推定し、「Sad」「Angry」「Relax」「Happy」のいずれかに分類する(写真:日経 xTECH)
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 感情の分析には、心拍や表情、まばたきの頻度といったデータを用いている。心拍も含めてこれらのデータは、カメラの映像から推定している。カメラは、卓球台のネットの代わりに設置しているパネルに搭載した。このパネルには、ラリー中の玉のスピードやスピン量、対戦相手のスキルなどを表示するディスプレーも付いている。

卓球台にはネットの代わりにパネルがあり、対戦相手の心拍や表情などを読み取るためのカメラ(中央)や、様々な情報を表示するディスプレーが搭載されている(写真:日経 xTECH)
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