スマートフォン向けSoCの定番CPUコアと言えば、「Arm Cortex-A」シリーズ。現在、プレミアスマホのSoC向けに製品化(ライセンス供給)されている最新版は2019年6月に発表された「Cortex-A77」である(関連記事)。Cortex-A77は7nmプロセスで製造するSoCへの集積を想定している。その次のCortex-Aコアの開発コード名は「Hercules」。Herculesは5nmプロセスで製造するSoCへ集積される予定。

Cortex-Aコアのロードマップ。Armのスライド
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 2019年10月8日~10日に米国サンノゼで開催の「Arm TechCon 2019」では、CPUコア/IPコアと汎用的なフィジカルIP(スタンダードセル、メモリージェネレーターなど)を提供する英Arm、製造を担うシリコンファウンドリーの韓国Samsung Electronics、そして設計用ソフトウエア(EDAツール)を提供するEDAベンダーの3社が、5nmプロセスで製造するHerculesをテーマにして、共同で行うセッションが2つあった。

 従来から、SoCの開発では、CPUコア/IPコア、フィジカルIP、EDAツール、製造プロセスといった要素間の連携は大切だった。しかし、最近の先端プロセスでは、その連携の緊密さがSoC開発プロジェクトの成功の鍵を握るような状況になっている。従来は、連携要素間の調整は少ない回数で済んでいた。最近は、修正すべき要素の見極めが難しくなり、何度も調整が必要で、いわゆる擦り合わせの世界になっている。擦り合わせには大きな手間がかかり、業界全体としてそれほど多くの要素は扱えない。これが、製造プロセス、EDAツール、フィジカルIP、CPUコア/IPコアのそれぞれにおいて寡占化が進む一因となっている。

EDA(Cadence)、CPUコア(Arm)、フィジカルIP(Arm)、製造プロセス(Samsung)の連携イメージ。Cadenceのスライド
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EDA(Synopsys)、製造プロセス(Samsung)の連携イメージ。設計と製造が連携することから、DTCO(Design-Technology Co-Optimization)と呼ばれる。Synopsysのスライド
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 今回のArm Techconにおいて、5nmプロセスで製造するHerculesをテーマにした3社共同セッションは2つあった。2つの違いは登壇したEDAベンダーにあり、1つのセッションは米Synopsysが主催し、同社とArm、Samsungが登壇。もう1つは米Cadence Design Systemsが主催し、同社とArm、Samsungが登壇した。Synopsys主催セッションの直後にCadence主催セッションが行われた。

3社共同セッションの最初のスライド。上がSynopsys主催のもの。下がCadence主催のもの
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 SynopsysもCadenceもArm TechCon 2019では専用のコンファレンス会場を持ち、それらの会場ではそれぞれに関連したセッションだけが行われていた(両社の専用コンファレンス会場は隣り合わせで設けられていた)。5nm Herculesをテーマにした3社共同セッションもSynopsys、Cadenceそれぞれの専用コンファレンス会場で行われた。なお理由は不明だが、Synopsys主催の方では開始前に競合企業への退席要請があり米GLOBALFOUNDRIESの社員が会場から出ていく場面があった一方で、Cadence主催の方ではそうしたことはなく、GLOBALFOUNDRIESの社員も聴講していた。

 Synopsys、Cadenceの両社は展示会場にブースを構え、Arm TechCon 2019のスポンサー企業としても名を連ねている。Cadenceは最も上位のDiamondスポンサー、SynopsysはDiamondの次(Platinum)の次になるGoldスポンサーだった。Diamondスポンサーは1社だけで、コンコースなどではCadenceのサイネージが幅を利かせていた。

Synopsysのブース。日経 xTECHが撮影
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Cadenceのブース。日経 xTECHが撮影
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