ルネサスエレクトロニクスは、新たな32ビットマイコン「RAファミリ」を発表した(ニュースリリース)。CPUコアとして英アーム(Arm)の「Cortex-M」を採用したマイコンで、 IA(インダストリアル・オートメーション)、BA(ビルディング・オートメーション)、メーター 、ヘルスケア機器、家電といった各種 IoT(Internet of Things)エッジデバイスに向ける 。同社は米国サンノゼ開催中の「Arm TechCon 2019」(2019年10月8~10日)にブースを構え、RAファミリ製品を使った複数のデモンストレーションを見せている。

RAファミリの概要。ルネサスのスライド
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RAファミリ製品を使ったデモンストレーションの1つ。このデモではセキュアーなことをアピール。左端はRenesas Electronics AmericaのKaushal Vora氏(Marketing Director, Strategic Partnerships & Global Ecosystem, IoT Platform Business Division)。日経 xTECHが撮影
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 これまで同社は32ビットマイコンは、独自の「RX」コアをCPUにする「RX ファミリ」を主力製品としてきた。ArmコアをCPUにするマイコンに関しては、ソフトウエアやサポートなどを一体化した「Renesas Synergy プラットフォーム」として提供し(関連記事1)、原則、Armマイコン単独では販売していなかった。

 ルネサスがArmマイコンを単独で提供してこなかった背景には、独自コアのマイコンで確固たる地位を築いてきたからだろう。実際、同社によれば、RXファミリ製品の累積出荷個数は5億個に上るとする。RXコアの開発も脈々と続けており、現在、第3世代のRXコアを集積したマイコンが続々と登場している(関連記事2)。Armコアマイコンに対する社内の反発は容易に推察される。ルネサスと同様に独自コアマイコンが強かった米フリースケール・セミコンダクタ(Freescale Semiconductor)(現在はオランダNXP Semiconductors)は、Armコアマイコンを発売した際には、「顧客の声には勝てない」と語ったものである(関連記事3)。

 Renesas Synergy プラットフォームでArmコアマイコンを"控えめに"提供してきたルネサスも、競合のArmコアマイコン事業が好調なことから目を背くられなくなったようだ。例えば、伊仏合弁STマイクロエレクトロニクス(STMicroelectronics)は、Armコアマイコンに集中することで、車載マイコンを除く汎用マイコン市場において、ルネサスを抜き去ったと説明している(関連記事4)。ようやく決心がついたルネサスが今回発表したのが、RAファミリである。

 同社は、RAファミリ投入後も、RX ファミリとRenesas Synergy プラットフォームの事業は継続する。米ルネサスエレクトロニクス・アメリカ(Renesas Electronics America)の伊藤栄氏(Vice President, IoT Platform Business Unit)とDarl Khoo氏(Vice President, IoT Product Marketing, IoT Platform Business Unit)によれば、RAファミリでは、RX ファミリの置き換えを狙うのではなく、Armコアマイコンを望む新たな顧客の獲得を狙う。第4世代RXコアも開発中である。

Renesas Electronics Americaの伊藤栄氏とDarl Khoo氏。日経 xTECHが撮影
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3つのArmコアマイコンのポジション。ルネサスのスライド
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