IoT関連の国内最大級の展示会「CEATEC」。2019年は「Toward Society 5.0」というキャッチを掲げて、10月15日~18日に千葉県の幕張メッセで開催された。CEATECでは例年、展示された技術・製品・サービス等の中から優れたものが「CEATEC AWARD」として表彰される。出展者が事前に応募した出展品・案件を、「CEATEC AWARD 審査委員会」が学術的・技術的観点、市場性や将来性等の視点から、イノベーション性が高く優れているものを選ぶという。

展示会場の出入り口の通路に置かれた、CEATEC AWARD 2019受賞案件の紹介パネル。日経 xTECHが撮影
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 20世紀最後の2000年に「エレクトロニクスショー」と「COM JAPAN」が合体してスタートしたCEATECは、今年(2019年)で20回目の開催となる。初期のCEATECでは、民生用電子機器や電子部品、携帯電話機が展示の主役だった。デジタル民生機器ブームが一巡し、多くの国内メーカーが携帯電話機から撤退すると、CEATECは厳しい状況に追い込まれた。その後、米国のCESと同様に電子/電気化が進む自動車を新たな軸足にしたが、それも数年で収束した。最近(主催者によれば、2016年ごろから)は、IoTを柱に据えて、電子部品や電子機器(ハードウエア)だけでなく、ソフトウエアやサービスの展示が増えている。

20周年記念のオブジェ。日経 xTECHが撮影
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 バラエティーに富みにぎやかになった半面、「何の展示会が見えない」といった声が来場者だけでなく、出展者からも聞こえてくる。電子部品の分厚いカタログを入手することが来場者の目的だった遠い昔のエレクトロニクスショーを知る記者には、CEATEC 2019の展示会場は、百花繚乱(りょうらん)とも言えるし、混混沌沌や五里霧中とも言える状況である。そのなかで審査委員会が選んだAWARD受賞の案件はどんなものなのか、3日目(10月17日)の午後の数時間に会場を回って見てきた。

 結論を先に言うと、記者が事前に考えていたより遙かにきちんと選ばれたアワードだった。ドイツ政府が進める「Industrie 4.0」は産業界の効率化に主眼が置かれているのに対して、日本政府が打ち出している「Society 5.0」は生活や社会を豊かにすることも目指す。それを促進しそうな受賞案件が多かった、というのが記者の印象である。以下、ブースで見た受賞案件をざっと紹介する。CEATEC AWARD 2019で受賞した案件は全部で10ある(ニュースリリース)。大臣賞は2件、部門賞が6件、特別賞は2件である。

CEATEC AWARD 2019受賞案件一覧。資料を基に日経 xTECHが作表
大臣賞総務大臣賞富士通 3Dセンシング/AIによる自動採点システム
経済産業大臣賞村田製作所 業界最高水準の容量を持つ酸化物全固体電池
部門賞 トータルソリューション部門 グランプリ LiLz 点検現場がラクになる。低消費電⼒IoTカメラと機械学習で計器点検を効率化する「LiLz Gauge(リルズ ゲージ)」
準グランプリ SoundUD推進コンソーシアム 「SoundUD」により実現する⾳のユニバーサルデザインとイノベーション
スマートX部門 グランプリ ミスミグループ本社 製造業における部品調達のデジタル⾰命「meviy」(メヴィー)
準グランプリ 京セラ 糖質ダイエットモニター
デバイス&テクノロジー部門 グランプリ 日本ガイシ チップ型セラミックス⼆次電池 EnerCeraシリーズ
準グランプリ 第一精工、凸版印刷 匂いセンサ 「nose@MEMS」
特別賞Society 5.0 TOWN賞ANAホールディングス アバター社会インフラ
Co-Creation PARK賞CI Inc. スマホから病児保育施設の予約ができる「あずかるこちゃん」
共同応募会社

総務大臣賞は富士通、経産大臣賞は村田製作所

 CEATEC AWARDの大臣賞には、総務大臣賞と経済産業大臣賞がある。今回、総務大臣賞は、富士通の3Dセンシング/AIによる自動採点システムが獲得した。スポーツ競技で審判の採点を支援するシステムで、富士通が数年前から開発を進めてきた(関連記事1関連記事2)。ブースの説明員によれば、CEATEC 2019の直前にドイツのシュツットガルトで開催された「第49回世界体操競技選手権大会」で初めて実際に使われた。技術点の検討に使われたという。一方で芸術点に関しては、これまで通り審判員が全面的に担っているとのことだった。コンピューターシステム(機械)と人(審判員)の棲(す)み分けに、Society 5.0のあり方を感じさせた。

富士通の3Dセンシング/AIによる自動採点システムのデモ。総務大臣賞を獲得。日経 xTECHが撮影
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富士通が受けた総務大臣賞の賞状など。富士通のブースで日経 xTECHが撮影
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