「これまでのドローンは、いわば“空飛ぶカメラ”のようなもの。次世代ドローンによって、(航空法の規制がない)地上150mまでの空域を経済化し、“空飛ぶ産業ロボット”の実現を目指す」(エアロネクスト 代表取締役CEOの田路圭輔氏)

 ドローンベンチャーのエアロネクストが、「CEATEC 2019」で大きな一歩を踏み出した。同社が開発した独自の重心制御技術「4D GRAVITY」を採用した、“次世代ドローン”の量産試作モデル「Next INDUSTRY」を初公開したのだ。中国の産業用ドローン大手、MMC(科比特航空)と共同開発した。今後、中国と日本で同モデルを検証し、2020年度に社会インフラなどの点検市場への導入を予定している。

エアロネクストと中国MMCが共同開発した産業用ドローンの量産試作機「Next INDUSTRY」。4D GRAVITYの技術を採用した。スペックは、全高 1700×全幅1200×全長1000mm、重量7.5kg。飛行時間は25分で予定最高速度は20km/h
(図:エアロネクスト)
[画像のクリックで拡大表示]

 産業用ドローンは空撮のみならず、農業、点検、測量、警備、物流など多くの分野への本格的な応用展開が期待されている。しかし、現状では期待の大きさの割には展開の歩みは遅い。田路氏は「ドローンは製品としてまだ黎明期にあり、完成の域に達していない。機体の構造を根本的に変えなければ、劇的な進化は望めない」と指摘する。

ドローンの機体構造はこの30年間進化していない
(図:エアロネクスト)
[画像のクリックで拡大表示]

 既存のドローンは回転翼などの飛行部と(カメラや荷物などを載せる)搭載部が一体化している。前後左右に移動する場合、機体を進行方向に傾けて、前方の回転翼の回転数を下げ、後方の回転翼の回転数を上げる。そのときに、搭載部と機体を合わせた重心と機体の重心がずれていると不安定になる。風を受けたときも同様だ。「既存のドローンは風に弱く、風速10m/秒程度の環境下で動作が不安定になる。特に着陸時は危ない。上昇気流を受けてモーターが止まり、制御不能に陥ることもある」(同氏)。

 移動時に機体を傾ける際は後部モーターの回転数を高い状態にして飛行するため、電力消費が高まるほか、後部モーターに負荷がかかりやすく、それが故障を誘発する場合もあるという。安定的に飛ばせるスピードも、スペックよりかなり低い20~30km/時が通常だ。

この先は会員の登録が必要です。今なら有料会員(月額プラン)が12月末まで無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら