「日経 xTECH EXPO 2019」(2019年10月9~11日)の特別講演「IoT/AIを活用した、具体例に見るDMG MORIのデジタルファクトリー」には、DMG森精機専務執行役員の川島昭彦氏が登壇。大手メーカーから中小企業まで幅広く提供する製造のデジタル化・自動化の取り組みについて紹介した。

図1 DMG森精機 専務執行役員の川島昭彦氏
(撮影:菊池一郎)
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 DMG森精機は、大手航空機メーカーから中小の町工場まで幅広くさまざまな工場に工作機械を提供している。そんな同社の顧客が直面しているのが、先進国における高齢化問題。そのため、技術を持つ職人が退職していく中で誰でも運転できる工作機械が求められてきている。また、大量生産から多品種少量生産のニーズが増えてきたことで、ドイツでは5軸加工機の導入が急速に進んでいるという。

図2 5軸加工機の位置づけ
多品種少量生産から大量生産まで幅広いニーズに応え、自動化を進めるためには5軸加工機が重要になるという。(撮影:安蔵靖志)
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 「多品種少量生産のニーズが増える一方で大量生産も残っている現場の状況には、刃物台と工具ホルダーを動かせる5軸加工機がマッチしている。刃物台と工具ホルダーを固定すれば従来の3軸加工機のようにも使えるため、粗削りから精密加工までをワンチャックで行える。これによる効率化は非常に大きい。3軸加工機を多数台並べるよりも、5軸加工機を幾つか並べて工程を分割するというのが今のトレンド。ドイツではもう5軸加工機の方が圧倒的に多い状況だ。日本では始まったばかりだが、今後ますます広がると見ている」(川島氏)。

 ワンチャック化は「(加工物を)外したり戻したりせず、取り付けてボタンを押すだけでかなりのところまで加工できるため、自動化に向いている」という。一方、ワンチャックによる自動化には、センシングが重要となる。

 「自動化を進めるとオペレーターが工作機械の前に立つ時間が短くなるため、停止や異常動作、効率低下などを遠隔でセンシングして、すぐに駆けつけられる体制が必要になる。IoT(Internet of Things)でデータを取るなら、それらをビッグデータ化して分析し、より活用できる形にして現場にフィードバックする流れができる。当社の自動化のベースにはこの考え方がある」(川島氏)。

 実際、DMG森精機はさまざまな自動化ソリューションを提供している。例えば、モジュール式ロボットシステム「MATRIS」は、レゴブロックのように組み合わせて自動化システムを構築できる。実際に自動化システム構築の工数が1/5に短くなった例もあり、据え付け工数は2日、システム改造が1日、工数は全体で16時間と、劇的に自動化の仕組みを導入しやすくしたという。「当社の中心顧客である中小企業の場合、新たな機械を導入するための障壁が大きい。それを簡単にするのがこのシステムだ」(川島氏)。

図3 モジュール式ロボットシステムの「MATRIS」
(撮影:安蔵靖志)
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