三菱UFJニコス常務執行役員の鳴川竜介CTO(最高技術責任者)は2019年10月10日、新型ブロックチェーンを使って2020年に事業を開始する決済ネットワークについて「日経 xTECH EXPO 2019」で講演した。

三菱UFJニコス常務執行役員の鳴川竜介CTO(最高技術責任者)
(撮影:菊池一郎)
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 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)と高速データ配信を手掛ける米アカマイ・テクノロジーズ(Akamai Technologies)は2019年4月に「グローバルオープンネットワークジャパン(Global Open Network Japan)」を共同で設立した。両社は新型ブロックチェーン技術を採用した高速の決済基盤「GO-NET」を共同開発し、2020年前半までの提供を目指している。

 従来のクレジットカードの決済ネットワークは、決済の処理速度を高速化しても秒速7万~8万件の処理速度が最高だった。これに対してブロックチェーン技術を応用したGO-NETは「テストサーバーで秒速100万件、今後は1000万件の決済処理が可能」(鳴川氏)。これは「全世界で発生しているカードトランザクションを全部飲み込んでも1つのシステムで処理可能」(同)になる規模という。

 GO-NETについて鳴川氏は「皆さんがよく聞かれているブロックチェーンと全然違う」と語り、GO-NETの応用範囲の広さを強調した。決済以外にも従来の技術では不可能だったサービスが可能なインフラになるという。

 応用例として挙げたのは、IoT(インターネット・オブ・シングズ)決済だ。例えば、「自動車が走行している高速道路の場所をGPS(全地球測位システム)で捕捉すれば、1分ごとに課金して料金所が不要になる」(鳴川氏)とした。駐車料金なども30分単位ではなく実際に入出庫した時間を1分単位で捕捉して料金の決済を処理できる。

 あらかじめ設定した何らかの条件に合致すると取引を実行する「スマートコントラクト」と呼ばれる仕組みも、取引を実行するアプリケーションを別途用意せずに構築できる。「大量の少額決済が可能となり、課金を諦めていたサービスでもビジネスとしてお金を集められる可能性がある」(鳴川氏)。

 ブロックチェーンはデータを改ざんしにくいうえに、災害などがあっても安全に処理できる。鳴川氏は「サービス開始時には国内の北海道から九州まで数十カ所にサーバーを置く。稼働しているサーバーが残り4台になっても処理が可能」とした。鳴川氏は今後、顧客から様々な要望に応えて「一緒に新しい世界を構築したい」と締めくくった。