「FinTechやブロックチェーンなどに対して金融庁は規制当局としてイノベーション(革新)を阻害しないように、これからも支援していきたい」。2019年10月10日、東京ビッグサイトで開催中の「日経 xTECH EXPO 2019」で金融庁の松尾元信 政策立案総括審議官は「G20を踏まえたブロックチェーンエコシステムの新提案-マルチステークホルダーガバナンスについて」と題して講演。FinTechやブロックチェーン関連の規制の状況を解説した。

金融庁の松尾元信 政策立案総括審議官
(撮影:新関雅士)
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 ブロックチェーンに対する規制は、P2P技術を採用していることから追跡が難しいなどの理由でマネーロンダリングやテロを念頭に置いたものが主流だった。しかし最近、ICO(仮想通貨の新規発行による資金調達)をはじめとして規制が求められる新しい用途が登場してきた。

 この状況を受け「金融庁としてはICOに対する投資家保護の仕組みなどが新たに必要と判断」(松尾総括審議官)。ICOを「株式の発行と同等」とみなし金融商品取引法の対象になることを確認するなど「世界各国と比べても先駆的にブロックチェーン領域の規制を進めてきた」(同)という。

 金融庁がブロックチェーンなどのFinTech領域で規制を検討できるのは、「関連する規制当局が金融庁しかないためだ」と松尾総括審議官は話す。海外では銀行や保険などの領域ごとに規制当局が存在するという。

 2019年6月に開催された20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)の「G20大阪首脳宣言」において、マネーロンダリングやテロへの対策のほかに、ブロックチェーンのガバナンスも採択された。「ブロックチェーンなどは規制するだけでなく、技術開発の担当者や研究開発の担当者などを巻き込んで議論するのが望ましい。この内容が宣言に入っている」(松尾総括審議官)という。

 ブロックチェーンのガバナンスのあり方を検討する取り組みの1つとして、2020年3月にフォーラムを開催する予定だ。松尾総括審議官は「金融庁としてはFinTechについて規制するだけではなく、支援組織を作るといった取り組みもしている」と強調した。