受賞製品/サービスの概要や選考理由は以下の通り。

グランプリ
鹿島「鹿島スマート生産」

概要:3次元モデルに建物の属性データをひも付けたBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)をプラットフォームとして、工事現場の生産性を向上させるソリューション。巡回ドローンや溶接ロボット、モニタリング技術など計18項目の要素技術を組み合わせる。作業員や資機材の動きをビーコンで把握して遠隔地から現場の状況を正確に把握したり、取得したデータを分析して効率的な工程管理に活用したりできる。

審査員講評:鹿島は「作業の半分はロボットと、管理の半分は遠隔で、全てのプロセスをデジタルに」を合言葉に、建築生産プロセスのデジタル化を急速に推し進めている。職人や技術者の不足が深刻化している建設業界にあって、オープンイノベーションで開発した技術を自社の現場のみならず広く展開し、業界・社会課題の解決につなげようとする姿勢も評価した。

オフィスIoT賞
WHERE 「EXOffice(エックスオフィス)」

概要:ビーコンとBluetoothタグを組み合わせて従業員や各種備品の位置を見える化するソリューション。オフィスマップを模したダッシュボード画面上に社員や備品の位置を表示する。料金は月額1人あたり400円など(働き方改革パックの例、初期費用が別途かかる)。

審査員講評:社員の在席状況や備品の置き場所を可視化できるだけでなく、社員食堂やトイレの空き状況などもきめ細かく管理でき、無駄な待ち時間を削減する効果が見込めることを評価した。監視対象として会議室エリアを加えることで、予約したが使わない人に注意喚起することも可能。従来、機器やタグを売り切る方式だったが、2019年中にサブスクリプション方式でも提供予定という。

教育AI賞
ギリア、トライグループ「トライ式AI学習診断」

概要:学生の学習能力に関する強みや弱みをAIを使って診断するサービス。学生が2択の問いに10分間答えると、結果を基にAIが現状の学力を診断する。従来よりも時間を約10分の1に短縮でき、テスト結果の分析作業も効率化できる。2020年4月にサービスの本格提供を始める予定。

審査員講評:教育にデジタル技術を活用する「EdTech」の先進事例。トライグループが持つ豊富なデータを生かせるのが強み。昨今話題に上っている教師の過重労働問題に 対する解決策の1つにもなり得る。

工場IoT賞
ビーコア「彩色兼備~位置管理サービス~」

概要:対象物に貼り付けたカラーコードをカメラで認識して、個々の対象物の位置情報を管理するシステム。工場のような特定のエリア内への入出庫や移動の情報をマッピングして管理できる。映像情報を使うことで周辺の影響を受けづらく数センチの精度で位置を把握可能。

審査員講評:よくある無線ではなく、性能向上が著しいカメラを活用するソリューションがユニーク。また、電波を使わないこととで建物の構造や電波法などの制限を受けずに設置できる点も評価した。

スリープテック賞
O: 「O:SLEEPリテンション」

概要:睡眠の質を高めることで生産性の向上や離職率の低下を図る企業向けスリープテック・サービス。従業員側は睡眠の質を測定するスマートフォンアプリを利用。同アプリで自身のコンディションや改善策を確認できる。企業側は匿名化された収集データを管理サービスで分析・可視化できる。

審査員講評:人事部門や上長が利用する管理サービスからは個人の睡眠データを直接閲覧できない仕組み。チームや組織の状態を可視化した管理画面を通じて働き方改革やメンタルヘルスケアなどに生かす。スマートフォン以外のハードウエアが不要で、プライバシーに配慮した仕組み作りに特化するなど、物理的・心理的な障壁を極力減らしたサービスに仕上げている点を評価した。

セキュリティー賞
ショーケース 「Protech ID Checker」

概要:オンラインで本人確認を完結させるeKYC(electronic Know Your Customer)の機能をサイトに導入するためのサービス。申し込みページなどにJavaScriptのタグを挿入するだけでeKYCの機能を追加できる。本人確認に必要な免許証や本人写真の読み込みなどの一連の流れを、簡易に自社サイトに実装できる。2019年10月から提供を始めた。

審査員講評:WebページにJavaScriptのタグを挿入するだけでeKYCの機能を追加できる簡易さを評価した。LINE Payなどスマホ決済事業者が先行していたeKYCの実装を、広くFinTechサービスを手掛ける事業者に広げる可能性を秘める。eKYCは、これまで書類の郵送などが必要だった本人確認手続きを、オンラインだけで完結できるようにするため、利用者の負担も減る。eKYCの簡易な実装手段の登場は、FinTechサービスのいっそうの普及を後押しすると期待できる。

ネットワーク賞
ソラコム「S+(サープラス) Camera Basic」

概要:SORACOM Airのセルラー回線を標準で搭載した、簡単に使えるネットワークカメラ。エッジ処理基板にはRaspberry Pi をベースとして通信モジュールやSIMカード、カメラ、電源を一体化。電源を入れれば特に通信の設定をしなくても稼働する。カメラの処理アルゴリズムはSORACOMが提供するリファレンスアルゴリズムの他に、ユーザーが自社で開発したアルゴリズムやサードパーティが開発したアルゴリズムから選択できる。アルゴリズムは遠隔地から、セルラー経由でウェブコンソールを使って更新できる。

審査員講評:「購入したらすぐ使えるネットワークカメラ」として高い評価を得た。低コストで知られるSORACOMのデータ通信サービスを基盤に、低廉なネットワークカメラを提供してハードウエアとセットでサービス拡大を図るビジネス戦略も評価した。本体は約300gと軽量なので、工場やオフィスで設置する際も特に工事は不要。通信設定も不要なので、ネットワークに詳しいエンジニアがいない中小工場でも買ってすぐ設置し、監視カメラとして使用できる。アルゴリズムによっては、製造ラインを円滑にワークが流れているかを把握したり、顔を認識したら自動で静止画を撮影してクラウドにアップロードしたり、様々な作業の効率化を図れる点も、評価のポイントとなった。

ビジネスAI賞
Beyond Limits「コグニティブAIソリューション」

概要:「説明可能なAI(XAI)」を実現する人工知能(AI)ソリューション。深層学習(ディープラーニング)をはじめとするブラックボックス型のAIと専門家のノウハウやガイドラインを扱うシンボリックAIを組み合わせて、処理結果のスコア化や監査証跡の作成などを可能にした。日本初出展。

審査員講評:NASA(米航空宇宙局)やカリフォルニア工科大学のノウハウをベースに実現するなどAI技術面の先進性とともに、英BPなどエネルギー分野での導入実績がある点で日本の製造業におけるDXの推進に貢献する可能性が高い。

HRテック賞
Unipos「Unipos」

概要:従業員のモチベーションを高めるための社内チャットを構築するツール。チャットに書き込まれた発言や行動に対して、従業員の間で「ピアボーナス」という独自のボーナスを送り合う。スマートフォンやパソコンを通して、お互いに認め合う気持ちを伝えることで仕事に対する従業員のエンゲージメントを高める効果が期待できる。

審査員講評:仕事の連絡を取り合うための必須ツールであるチャットにボーナスの機能を組み込むことで、全社員の仕事にも光を当て実際の報酬にもつながる考え方が目新しい。独自のツールだけでなく、SlackやMicrosoft Teams、Chatworkなど、広く使われているビジネスチャットと連携できることで、普段から使っている環境に組み込める点も評価した。

日経 xTECH EXPO AWARD 2019審査概要
 日経 xTECH EXPO AWARDは、日経 xTECH EXPO 2019に出展された全ての製品/サービスの中から、製品/サービスとして優れていると同時に、来場者に対して分かりやすくインパクトのある展示を行ったもの「グランプリ」「準グランプリ」として選出した。

日経 xTECH EXPO AWARD 2019 審査員
審査委員長

河井保博 日経BP 技術メディア局長

審査委員

田中淳 日経 xTECH/日経FinTech
根本浩之 日経 xTECH/日経NETWORK
高市清治 日経 xTECH/日経ものづくり
大谷晃司 日経 xTECH/日経コンピュータ
菅井光浩 日経 xTECH Active
高橋秀和 日経 xTECH/日経コンピュータ
木村駿 日経 xTECH/日経アーキテクチュア

審査事務局

森重和春 日経 xTECH/日経SYSTEMS