「発電した電力をより高く売り、より安く買う仕組み作りにブロックチェーン技術が有効」――。東京電力グループのベンチャー企業TRENDEの中居洋一事業開発マネージャーは2019年10月9日、東京ビッグサイトで開催中の「日経 xTECH EXPO 2019」において、このように語った。

TRENDEの中居洋一事業開発マネージャー
(撮影:菊池一郎)
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 同社は現在、個人間で電力を売買する「P2P電力取引」の実証実験を進めている。この取引ができれば、電力の売り買い両方に経済的なメリットがあるだけでなく、災害などによる停電時に、自家発電で電力が余っている家庭から、停電している近くの住居へ電力を供給できるようになる可能性がある。現在、P2P電力取引はまだ認められていないが、将来的な実現可能性の検討が電力会社などで進んでいる。

 同社は実証実験において、電力の販売者や販売量、購入者や購入量といった取引の記録を残すためにブロックチェーン技術を利用している。改ざんされにくい、システムダウンしても復旧が容易、システムの維持コストが低く済むといったブロックチェーン技術のメリットを電力取引の世界でも使う。

 2019年6月から東京大学やトヨタ自動車と共同で実施している実証実験ではいくつかの課題が見つかったという。各家庭や事業所は電力の使用状況をモニタリングしており、その後に電力需要を予測。不足する場合はP2P電力取引で調達する。電力の購入量を決めるために欠かせないデータだが、「宅内の電力データを一部Wi-Fiでやり取りした結果、正しくデータを取得できないことがあった」(中居氏)。データを担保する仕組みを考える必要が明らかになった。

P2P電力取引の課題も明らかになってきた
(撮影:菊池一郎)
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 ほかにも同社は太陽光発電設備と蓄電池を所有している家庭について、昼間に電力を蓄えて夜に売り出すと想定していた。しかし蓄電池にためた電力を売りに出さず、自家消費する傾向が強いと分かった。中居氏は「夜など発電しない時間の電力供給に課題が見えた。蓄電池所有者へのインセンティブを考える必要がある」とした。