治療用アプリなどデジタル治療(デジタルセラピューティクス、DTx)を推進する7社は2019年10月18日、「日本デジタルセラピューティクス推進研究会」を立ち上げたと発表した。DTxは、治療用アプリのようにデジタル技術を用いて疾患の予防や診断、治療などするソフトウエアを指す。承認取得を目指し、ソフトウエア単独や医薬品、医療機器との併用を目指すものだ。

 研究会に参画するのはアイリス、アステラス製薬、サスメド、塩野義製薬、田辺三菱製薬、帝人ファーマ、デジタルガレージ。このうちサスメドと塩野義製薬、デジタルガレージが2019年10月10日に開催された「クロスヘルス EXPO 2019」(主催:日経BP、後援:厚生労働省/経済産業省/日本医師会)のパネルディスカッション「日本でも実用化近づく『治療用アプリ』」に登壇。慶応義塾大学の現役の精神科医である鈴木航太氏も含めて、治療用アプリへの期待や課題、未来の医療の在り方などを議論した。サスメドからは取締役で医師の市川太祐氏、塩野義製薬からはデジタルインテリジェンス部専任課長の里見佳典氏が参加した。デジタルガレージ DG Labの豊原稔エグゼクティブマネージャーがモデレーターを務めた。

パネルディスカッションの様子
(写真:スプール)
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 まず精神科医の鈴木氏が、診療を行う立場から治療用アプリの位置付けや期待について解説した。鈴木氏は、「基本的に多くの治療用アプリは予防用アプリと等しいと捉えている」と考えを述べ、予防の段階で治療用アプリに期待することを紹介した。例えばアプリの利用を通じて、活動量が上昇したり、メンタルケアや生活習慣を改善したりといった健康への意識向上につながる可能性がある。他にも、治療への意欲が向上したり、診療と診療の間の空白を埋めたりすることにも役立つとした。またアプリには、医師による診療を補助する役割があることも紹介した。鈴木氏は、「精神疾患は根本的な原因がわかりづらく、原因に直接作用する治療薬の開発が難しい。治療用アプリやPHR(Personal Health Record)関連アプリの処方も有用ではないか」と話した。

慶應義塾大学医学部 精神・神経科学教室/HIKARI Lab/Doctor Mate/医師の鈴木航太氏
(写真:スプール)

 鈴木氏は治療用アプリを実用化する上での倫理的な面にも触れた。倫理的な問題として挙げられるのが「ユーザーへの安全性」「医療的な妥当性」「データのセキュリティ」などである。他にも、「現場のニーズよりもテクノロジー優先になっていないか」「電子カルテなどとどう連携するか」「法整備をどのように進めていくか」といった課題も出ている。鈴木氏は「ユーザーが安心・安全に利用でき、現場のニーズなどにも合致したコンテンツの提供が、将来的に求められる」と語った。それらを踏まえたうえで、鈴木氏はエイターテインメントを通じてメンタルケアを広める「HIKARI Lab」や、介護施設のスタッフの悩みに現役の医師が相談に乗る「Doctor Mate」の事業に参加していることを説明した。

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