医療・健康分野で「欲しかった」と言われる価値を創り出す――。そんなコンセプトの下、東北大学病院では2014年から企業や研究者を医療現場に受け入れ、現場の観察をもとに「事業化に資する」課題の探索から開発研究を支援するプログラム「アカデミック・サイエンス・ユニット(ASU)」の提供を開始した。医療現場と産業従事者の交流により新たなイノベーションを生み出すユニークな取り組みだ。このプロジェクトを進める同大特任教授の中川敦寛氏に、ASUに込めた思いなどを聞いた。

東北大学病院臨床研究推進センター特任教授 中川 敦寛氏
(撮影:Beyond Health)
[画像のクリックで拡大表示]

 アカデミック・サイエンス・ユニット(ASU)は東北大学病院で臨床研究推進センターバイオデザイン部門が窓口となって推進しているプログラムです。企業の方々に直接医療現場に入っていただき、現場観察を通して多くのニーズを探索し絞り込みを行いながら、開発ターゲットを見いだして、新たな医療機器や医薬品・システム・サービスなどの製品化、事業化を目指します。

 ASUは、次の三本柱から成り立っています。企業の方々に臨床現場をどっぷり観察いただきニーズを探索する「クリニカルイマージョン」、その上で医療者・研究者と議論を深めて真に価値あるものを見いだす「ブレインストーミング」、さらには開発・事業化を加速させるために学内外の医療関係者や研究者、関連企業、公的機関などとのつながりを支援する「ネットワーキング」です。それぞれのパートでは、さらに細かいプログラムが構築されています。

 ASUの取り組みを始めたきっかけは、あまり詳しくはお伝えできませんが、ある一部上場企業が、医療従事者なら「これはもうニーズがないぞ」と5秒で判断できるものを、数年かけて、しかも数億円かけてやっていた事実に衝撃を受けたことでした。ニーズの掘り起こしを誤ったり、たとえニーズが正しくても開発の方向性が間違ってしまったりすると、その間に費やしたお金や人の努力はすべて無駄になってしまいます。大学として、企業の方が正しい課題、事業化に資する良い課題を選択できるようになる場を提供すべきではないか、ということでASUプログラムを開始しました。

この先は会員の登録が必要です。今なら有料会員(月額プラン)が12月末まで無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら