どのようなVRタイトルが人気を博し、どのようにプレーされているのか。そして世界と日本でどのような違いがあるのか。こうした疑問に答える講演がCEDEC 2019で開催された。ソニー・インタラクティブエンタテインメントの秋山賢成氏(グローバルデベロッパーテクノロジー部門 東京グローバルデベロッパーテクノロジー部 次長で制作技術責任者)が登壇した「PlayStation VRの振り返り」である。

 秋山氏は据え置き型ゲーム機「PlayStation(PS)4」向けVR用ヘッドマウントディスプレー(HMD)「PlayStation VR(PS VR)」の立ち上げ初期から、コンテンツ制作者とのインターフェース役として、コンサルティングや技術支援に従事してきた人物。それだけに、CEDEC参加者の関心は高く、立ち見が出るほど盛況だった。

 2016年10月に米Sony Interactive Entertainment(SIE)がPS VRを発売してからおよそ3年。累計実売台数は2019年3月3日時点で約420万台以上。PS VR向けにリリース済みのコンテンツ(タイトル)数は現在、約500タイトルに及ぶ。秋山氏の講演はこれらのタイトル提供を通じて得られた知見に基づく。

講演する秋山氏(撮影:日経 xTECH)
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 講演の序盤では、北米市場におけるVRコンテンツのダウンロード数ランキングを紹介。そのランキングから、ジェスチャー入力コントローラー「PlayStation Moveモーションコントローラー(PS Move)」を利用するVRコンテンツが人気で、ランキング上位にあるコンテンツは、長期間、コンスタントにダウンロードされ続ける傾向がわかった。例えば、さまざまな仕事を体験できる「Job Simulator」や、一人称視点で射撃しながら戦うゲーム「SUPERHOT VR」、PS Moveを光の剣に見立てて飛んでくるブロックをリズミカルに切る音楽ゲーム「Beat Saber」がそうしたタイトルになる。

動画や新作が好きな日本ユーザー

 次に、(1)PS VRに対するアタッチレートと(2)累計セッション時間、(3)アカウント単位のセッション時間の3つについて、それぞれ世界全体と日本でどのような傾向があるのか、PS VR発売から3年間で得た結果を基に解説した。ただし、具体的なコンテンツ名や数字などは明らかにせず、傾向や比較した結果を紹介するにとどめた。

 (1)のPS VRに対するアタッチレートとは、PS VRでプレー(インストール)されたコンテンツの数を意味する。アタッチレートが高いコンテンツほど、PS VRユーザーが頻繁にプレー(インストール)したことを意味し、「人気作」と言える。世界全体では、「無料のVRコンテンツ」や「プレイステーションプラットフォームで発売されているゲームをVR化した有料コンテンツ」、ゲームではない「ノンゲーム」のVRコンテンツのアタッチレートが高かった。例えばノンゲームでは、動画を再生するコンテンツが高いアタッチレートだった。

 日本の場合は、世界全体の傾向に比べて、動画コンテンツに対するアタッチレートが高い。中でも、人気アニメーションのVRコンテンツのダウンロード数が多い。加えて、「フルボリューム」と呼ばれるような、やりこみ要素が多く、クリアするまで時間がかかるVRゲームもアタッチレートが高いという。ここ半年だけに焦点を絞ると、日本のユーザーは世界全体に比べて、新作を求める傾向が強いとみる。

 (2)の累計セッション時間とは、あるコンテンツに対して、すべてのPS VRユーザーがプレー(起動)した時間を足し合わせた総時間を指す。つまり、累計セッション時間が長いコンテンツほど、より長くプレーされたものとなる。世界全体ではVRの入門用と位置付けられるコンテンツと、シナリオがあるコンテンツ、ユーザー同士のコミュニケーションを基にするコンテンツの累計セッション時間が長いという。

 一方で日本の場合は、動画の累計セッション時間が長かった。ここ半年に絞ると、この傾向が顕著だった。ただし、1ユーザー当たりの動画を連続再生する時間は短い。つまり、こまめに動画コンテンツを視聴した結果、累計セッション時間が長くなったとみられる。

 加えて、世界全体に比べて新作の累計セッション時間が長かったとする。前述のように、アタッチレートから見ると、日本のユーザーは新作を求める傾向にある。つまり、日本ユーザーは一言で表現すれば、「新作好き」と言えそうだ。

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