横浜市で2019年9月4日から開催中のゲーム開発者会議「コンピュータエンターテインメントデベロッパーズカンファレンス2019」(CEDEC 2019)の3日目、著名な人工知能(AI)研究者である中島秀之札幌市立大学学長が基調講演に登壇、「プログラムを書くことによって人間がわかるという面もある」と、AI研究のもう一つの側面を指摘した。

講演中の中島秀之札幌市立大学学長
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 「40年ちょっと、ずっとAIを研究してきた」という中島氏は、現在のAI研究の主たるイメージである「コンピューターを用いて、知的な作業ができる機械を作る」ことだけではなく、「コンピューターを用いて人間の知能を研究することも大事な側面。この2つは車の両輪だと思っている」と強調する。「ずっとAIを研究してきた結果、わかった一番のことは、人間はすごく賢い、すばらしいということ」(中島氏)。

 中島氏は「知能」を、「情報が不足した状況で、適切に処理する能力」と定義した。人間は非常に得意だが、コンピューターにはほとんど不可能であるとする。

 また、「AIは道具、あるいは助手である」と表現する。「AIに職を奪われるという言い方をする人がいるが、有能な助手に仕事を奪われることはない。有能な助手がいればうまく使って、自分がいい仕事をすれば良い。AIにはそういう立場で接すべきだ」と主張した。

 別の言い方をすると、「話題になっている自動運転も、目的地を入れるのは人間」(中島氏)である。大局的な方針を立てることは人間が得意で、実行するための局所的な方針の策定はAIが得意。今後は、人間とAIがそれぞれの得意分野で役割分担するようになると、中島氏は予測した。