コンピュータエンターテインメント協会が主催するゲーム開発者会議「コンピュータエンターテインメントデベロッパーズカンファレンス2019」(CEDEC 2019)が、横浜市で9月4日に開幕。「セガラリー チャンピオンシップ」や「スペースチャンネル5」などの人気ゲームを手掛けたゲームデザイナーの水口哲也エンハンス代表取締役が基調講演の壇上に立った。講演のタイトルは「ゲームの、そのさらに先へ -新たな体験の創造に向かって」。

講演中の水口哲也氏
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 講演の中で、ビデオゲームを「テクノロジーと共に進化する『体験のメディア』」と定義する水口氏は、「情報の時代から“体験の時代”への移行」を指摘する。「20世紀は情報の時代だった。メディアが発達して、一大産業になった。それが、これからは“体験産業”に変わっていく」と予測した。

 この“体験産業”を支えるのは、VR(仮想現実)はもとより、AR(拡張現実)/MR(複合現実)、5G(第5世代移動通信システム)、3次元スキャン、振動アクチュエータといったテクノロジーだ。

 「次の10年でARやMRのデバイスが軽量化、高解像度化して、他のテクノロジーと交わりながら、生活の中に浸透するのかなというイメージを持っている」(水口氏)。また、5Gのような高速な通信技術は、“体験”のリアルタイム送受信を可能にすると予想する。

 “体験”の表現のためには、さらなる高解像度化も意味を持つという。「『これ以上解像度が増えてどうするの?』と思っている方もいるかもしれないけれど、僕はまだまだ全然足りないと思っている。立体的で、もっとエモーショナルな表現を作るにはまだ解像度が足りない」。

 とはいえ、解像度の進化は次の15年くらいで頭打ちになるという。人間の眼は8K以上の解像度を判別できないからだ。そうなると「(VRのような)感覚移入ではなく、感情移入への模索が始まるだろう。それによって、より深い感動体験が起こってくる」。

 最後に、水口氏は「ちょっと誇張に聞こえるかもしれないけれど」と前置きしつつ、これから「活版印刷の発明と同じくらいの大きな革命が起こる」と予測。情報を2Dで印刷したり、複製して拡散させる形態が600年間続いてきたが、今後は3Dで共感覚的な体験の時代が始まるとして、講演を締めくくった。