
世界最大規模のプラスチック・ゴム専門ショー「K2019」が2019年10月16日から23日まで、ドイツ・デュッセルドルフで開催される*。その事前説明イベント(K2019プレビュー)が同年7月1日から3日までの日程で、メッセデュッセルドルフで開かれた。筆者は、今回も日本代表として招待され、最新の出展情報を取材し、欧州プラスチック業界の首脳や出展者と意見を交換した。このK2019プレビューの内容を4回にわたって報告する。
サーキュラーエコノミー実現に向けた技術展示が続々
K2019の中心的なテーマは、サーキュラーエコノミー(循環型経済)とサステナブルデベロップメント(持続的な開発)。K2019プレビューで出展予定内容をプレゼンテーションした有力出展社12社も、多くがこの2つを意識した内容だった。海洋マイクロプラスチック問題は前回のK2016(関連記事)から引き続き、問題意識の深掘りや具体的解決策の提案に焦点が当たるとみられる。
プレゼンテーションの中でも目立ったのが、廃棄プラスチックを高品位な素材として再生するための技術開発と、生分解性プラスチックの開発・供給で環境負荷を減らす取り組みである。第1回の今回は、これらのサーキュラーエコノミーの実現に向けた技術開発について説明する。
BASF(ドイツ):生分解性プラスチックでマイクロプラ削減
BASFは年間売上高約8兆円を誇る世界最大規模のプラスチック原材料メーカーであり、約70年にわたってプラスチック産業の先端を走ってきた。「プラスチックは社会へ浸透しさまざまな恩恵を与えた半面、地球温暖化や海洋マイクロプラスチックなどの環境課題の原因も作ってきた」といち早く認識し、環境問題の解決に先陣を切って取り組むと表明している。その主要な手法は2つあり、生分解性プラスチックの実用化と非分解性プラスチックのケミカルリサイクルである。
同社の「ecovio」は生分解性プラスチックPBAT(ポリ・ブチレンアジペート-CO-ブチレンテレフタレート)であり、農業用のマルチフィルム(mulching film、根覆いフィルム)として実用化が進んでいる(図1)。軟質で生分解速度が速く、ポリエチレンの代替として農業分野だけでなく買い物袋向けにも欧州で普及が始まりつつある(図2)。ポリ乳酸(PLA)とのコンパウンドによる発泡体は、魚貝類の発泡スチロール箱の代替用途などへの展開が試行されている。
海洋へ流出するプラスチック廃棄物の約80%は河川や風雨による流出であり、陸域での埋設により生分解処理すれば廃棄物による海洋マイクロプラスチックの発生は抑止可能である。海洋へ直接投棄された場合を考慮した早期生分解性プラスチックの開発を目指す動きもあるが、強度や保温などの機能との両立は難しい。そこで出てきたのが、PBATやPLA、PBS(ポリブチレンサクシネート)などで機械的物性を保ちつつ、生分解期間をコントロールするというアプローチである。
これらの素材で造られた製品の廃棄物は海洋での生分解に5年以上かかると考えられるため、海洋へ直接投棄されるとマイクロプラスチック化してしまうとの意見もあるが、陸域では速ければ半年程度で生分解する(コンポストなどの分解環境に依存する)。生分解の集中処理施設の整備や家庭用コンポスト普及などのインフラ整備を並行して進めれば、マイクロプラスチック削減に寄与できることは明白である。
BASFはプラスチック廃棄物を集中的に収集する体制の整備を回収業者などと連携しながら進めており、ケミカルリサイクルによるプラスチック素材としての再利用技術の高度化にも取り組んでいる(図3)。ケミカルリサイクルは、廃棄されたプラスチックを再度モノマーレベルまで戻したうえでポリマー化させるリサイクル手法である。総合的なエネルギー収支をプラスにするには高効率なプラント運営とリサイクル技術のイノベーションが必要であり、同社は積極的に研究開発を推進している。
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