芳川バイスプレジデントは企業内のデータが部門や地域ごとに「サイロ化」していると指摘し、「データを統合し、顧客理解を深めなければディスラプター(破壊者)が現れて、やられてしまう」と続けた。

写真7●社内データの「サイロ化」
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 トレジャーデータは国内CDP市場で92.3%のシェアを持っているといい、ほとんどエンジニアリングの必要がなく、データを活用できるとした。「これまでデジタルとフィジカルの統合は難しかったが、CDPを使うことで難しかった部分が逆にイノベーションの源泉になる。販売以外に適用範囲を広げることで、ERP(統合基幹業務システム)やSCM(サプライチェーン管理)に匹敵するインパクトがある」(芳川バイスプレジデント)と語った(写真8)。

写真8●トレジャーデータのカスタマー・データ・プラットフォーム(CDP)
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ソフトバンクのMaaSで不動産から「可動産」へ

 ソフトバンクとトヨタ自動車の共同出資会社であるMONET Technologies(モネ・テクノロジーズ)の取り組みについては、同社の社長兼CEO(最高経営責任者)も務めるソフトバンクの宮川潤一副社長兼CTO(最高技術責任者)が登壇して説明した(写真9)。MONETについて「国内8社の自動車メーカーが資本参加しており、各社の異なるデータを『翻訳』することで、サービサーがコンポーネントとして利用しやすくする」と語った。

写真9●ソフトバンクの宮川潤一副社長兼CTO(最高技術責任者)
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 企業間の連携では、2019年3月に設立した「MONETコンソーシアム」を紹介した。2019年7月時点で参加企業は300社を超えたという。「MaaSといえば米ウーバー・テクノロジーズ(Uber Technologies)や中国の滴滴出行(Didi Chuxing)を想像される人も多いが、人の移動だけでなく需要と供給を移動でつなぐ『目的型MaaS』にも取り組んでいる」(宮川副社長)とした。

 事例としてコカ・コーラボトラーズジャパンの「オンデマンド・モバイル自販機」を紹介した(写真10)。人の流れに合わせて自動販売機そのものが移動し、ドリンクがなくなるとステーションに移動して補充する仕組みを備える。

写真10●コカ・コーラの移動式自販機
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 こうした仕組みをオフィスやコンビニエンスストアに応用することで、「不動産は可動産になる」(宮川副社長)とした(写真11)。一方で法規制が多く、住所ベースで営業許可を受けると隣の町に移動できない問題や、地方のオンデマンド交通では人数によって料金を変える「ダイナミックプライシング」の必要性、車両のマルチタスク化を阻む省庁の壁などを挙げ、政府や自治体と協調しながら解決していくとした。

写真11●お店が需要のある場所に移動する「可動産」へ
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 ソフトバンク社内の4000人の仕事をRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)で置き換え、高付加価値業務にシフトする「デジタルワーカー4000プロジェクト」についても紹介した(写真12)。問い合わせ対応や登録業務にRPAを導入し、大幅に短縮しているという。

写真12●デジタルワーカー4000プロジェクト
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 同プロジェクトのリーダーは宮内社長が務めており、「RPAによって自分の仕事が削減されるのではないかと思う人が出てくる。トップが強力に推進しないといけない」と強調した。