「もうスマホの画面では情報が収まらない、ARなら現実世界を全て画面にできる」――(SB C&S ICT事業本部MD本部AR/VR/MRソリューション担当の遠藤文昭氏)。2019年7月18日、ソフトバンクの法人向けイベント「SoftBank World 2019」で登壇した遠藤氏は、業務資本提携を結ぶホロラボの代表取締役CEO中村薫氏とともに、AR(Augmented Reality)と5G(第5世代移動通信システム)が切り開く未来について講演した。

SB C&S ICT事業本部MD本部AR/VR/MRソリューション担当の遠藤文昭氏(写真左)と、ホロラボ代表取締役CEOの中村薫氏(同右)
(撮影:日経 xTECH)
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 AR技術は現在、すべての産業が直面している人手不足への対策として期待されている。「ARデバイスを導入することで、データの可視化や合意形成の迅速化、生産性向上や技能伝承の手助けにつながる」(遠藤氏)。米マイクロソフト(Microsoft)の「HoloLens」が登場したことで、ARデバイスの導入が大きく進展した。さらに、5Gと組み合わせることで、より多くの情報をユーザーがリアルタイムに取得できるようになり、現実空間のデジタルデータ化とARデバイスでのデータ活用が広がる。例えば、俯瞰(ふかん)視点の都市の3Dモデルを手元に表示して、交通統制や渋滞情報を分かりやすく可視化できる。

 遠藤氏は、今後10年間でAR技術が広く浸透していくとする。5Gの商用化が始まる2020年や、大阪万博が開催される2025年が普及の1つの目安になる。さらに「2019年後半から2020年にかけて、ARグラスの発売ラッシュが訪れるだろう」(遠藤氏)。ARグラスの小型軽量化が進んで眼鏡のような形状に近付くことで、より普及を後押しすると遠藤氏は予測する。

 さらに遠藤氏は、AR技術が“ポストスマホ”になり得ると話す。5Gの利用によってユーザーが取得できる情報量が大幅に増加し、スマートフォンの画面サイズでは表示しきれなくなるからだ。ARならば、現実空間のどこにでも情報を表示できるので、画面サイズという制約を無くすことができる。

 ARデバイスや周辺機器は、今も進化を続けている。しかし、「現場でARデバイスを使うには2つの課題がある」(中村氏)。現実空間とAR表示したデータの位置が合わない場合があったり、デバイスを移動させるとAR表示したデータの位置がずれてしまう場合があったりするという。この課題を解決するために中村氏は、地上に設置した基準局を使って高い精度の位置情報データを取得するRTK(Real Time Kinematic)や、準天頂衛星「みちびき」を用いることで、現実空間とデジタル空間の位置合わせで誤差を数cmに抑えられるとする。

 周辺機器の進化も、ARの活用を後押しする。現在は、作成した3Dモデルの閲覧にとどまっているが、マイクロソフトの「Azure Kinect DK」をはじめとする距離画像センサーモジュールの性能向上により「現実の物体を3Dモデル化して取り込みやすくなった」(中村氏)。これにより、CAD/BIMデータと組み合わせて、より実態に即した情報をAR表示できるようになると中村氏は話す。

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