SBドライブの佐治友基社長兼CEO(最高経営責任者)は2019年7月18日、法人向けイベント「SoftBank World 2019」で講演し、2020年の実用化を目指す自律走行バスへの取り組みを紹介した。

講演の様子
(撮影:森元 美稀、以下同じ)
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 「地域のバス事業は採算が合わない、人手不足と言われ続け、事業の継続が難しくなっている。それでもラストワンマイルの移動手段としてなくすわけにはいかない」。佐治氏は、同社が自律走行「バス」にこだわる理由をこう説明する。

 バスは自家用車の普及で利用者が減っていたものの、免許返納などの流れから自家用車の代替手段として改めて注目されている。住民の移動手段確保が切実な課題となっている地方自治体では、クラウドファンディングで運行費用を募るなど資金調達を始めたところもあるという。

 自動運転車は「交差点から飛び出してきた人の検知」や「他の車との衝突回避」などが注目されがちだが、実はバスの事故の3割以上が車内で発生している。具体的には、乗客がバスの走行中に立ち上がったり、ブレーキ時にバランスを崩したりして転倒したことによる事故だ。高齢者の増加と共に、今後さらに増えると予想される。そこで車内の様子をAI(人工知能)で画像解析して「今、ブレーキをかけてよい状態か」を判断するソフト「DaiLY」を開発し、2019年1月に発売した。

 DaiLYでは、車内の乗客が「立っている」「歩いている」「急ブレーキでふらついた」などの情報をリアルタイムで把握し、地図上にプロットする。自動運転の安全性を高めるために開発したものだが、現行のバス事業者にとっても「どのポイントでヒヤリ・ハットが発生したか」を知るツールとして役立つ。

車内の様子をAIで画像解析する。人の動きをリアルタイムで把握し、より安全に停止できるタイミングでブレーキをかける
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 実際、江ノ電バスや西鉄バスなどがDaiLYを導入し、乗務員の指導に活用する。1日の乗車を振り返り、運転のクセを把握することで安全運転につなげている。佐治氏もこうした用途は「副産物だった」という。