「医療情報をベッドサイドへ持っていきたい」――。倉敷中央病院は、こうした考えの基に「DR2GOプロジェクト」と呼ぶプロジェクトに取り組んでいる。プロジェクトの具体的な取り組みについて、同病院の総合診療科主任部長の福岡敏雄氏が展示会「国際モダンホスピタルショウ2019」(2019年7月17日~19日、東京ビッグサイト)において、「DR2GOプロジェクト 『リモート』から『エンゲージメント』を目指して」と題して講演した。

大原記念倉敷中央医療機構 倉敷中央病院 総合診療科主任部長 救命救急センターセンター長 人材開発センターセンター長の福岡敏雄氏
(写真:スプール)

 2018年5月から実証を開始した「DR2GOプロジェクト」では、米アップル(Apple)のタブレット端末「iPad」を医師に配布した。実証で利用できるサービスとしては、クラウドのレントゲン画像などをタブレット端末などで閲覧できるアプリ「Join」のほか、文献データベースや電子ジャーナルのサイトの参照がある。この他に、コミュニケーション・ツールとしての「Office 365」や「Microsoft Teams」、院内サイトの参照、医薬品集や医薬品情報の検索・閲覧、医療者とMRのコミュニケーション・ツール「Dr.JOY」などを提供している。

 DR2GOプロジェクトを進めるに当たって、若手を中心としたワーキンググループを立ち上げ、意見交換なども精力的に実施した。全体では「電子カルテを見たい」、「同意書などをタブレット端末で取得できるようにしたい」、「Teamsで看護師とも情報共有したい」、「Apple Pencilを利用したい」などの意見があった。この他に若手の医師からは「院外から図書室サイトにアクセスしたい」、部長・医長からは「勤怠管理やメールなどの閲覧ができると働き方が変わる」といった意見が挙がったそうだ。

DR2GOプロジェクトで利用できるサービスの一部
(出所:倉敷中央病院)

 プロジェクトから見えてきた点としては、「タブレット端末が業務時間帯でも利用されている」、「タブレット端末を頻繁に利用する人と利用しない人の2極化が予想される」との見解を示した。また、利用頻度の向上については「キラーアプリやApple Pencilの提供」を指摘し、現状では「Join」や「Microsoft Teams」などがキラーアプリになっているそうだ。

 そういった状況を踏まえつつ、現在は「院内の患者情報の取り扱いルールの調整」や「BYOD(Bring Your Own Device:私的デバイスの活用)の体制整備」、「機種に依存しない情報共有」、「入力デバイス・閲覧デバイスとしての活用」などに取り組んでいる。こういった取り組みは「患者中心の医療につながる」(福岡氏)と感じており、将来的には「ベッドサイドでの患者や家族との情報共有」や「患者向けのモバイルアプリの提供」なども考えているという。

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