病院の業務効率化の鍵は音声入力にあり、NTTや富士通、NECがこぞって開発

2019/07/22 05:00
河合 基伸、高橋 厚妃=日経 xTECH/日経デジタルヘルス

 NTTとNTTテクノクロスは、音声入力を活用して内視鏡検査の所見の登録を効率化するシステムを展示会「国際モダンホスピタルショウ2019」(2019年7月17日~19日、東京ビッグサイト)に参考出展した。現在は医師が内視鏡検査時に診断結果を記憶して、検査終了後に所見を記録する場合が多く、医師の負担の増大につながっている。音声入力を活用することで、内視鏡検査をしながら所見を自然な発話で記録できるようになる。

内視鏡所化の効率化を目指す(撮影:日経 xTECH)
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 NTTは富士フイルムメディカル、神戸大学と共同で実験を進めており、実証実験で診断時間の短縮が図れることを確かめたという。診断後に手入力する場合に比べて、すべての患者で診断時間の短縮効果が得られた。平均診断時間は75秒短縮できた。

実験結果(撮影:日経 xTECH)
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 内視鏡検査に合わせた辞書データを用意することで認識精度を高めることができるものの、「医療分野では特に間違いが許されないため極めて高い精度が求められる」(NTTの説明員)。精度向上に向けて技術開発を継続する。

医師や看護師と患者の会話をテキスト化

 音声入力を活用したシステムとしては、富士通が看護師や医師と患者の会話を音声入力してテキスト化し、電子カルテにコピーできるシステム「電子カルテ音声入力ソリューション」を参考出展した。医療従事者の業務の効率化につなげる。

電子カルテ音声入力ソリューション(撮影:日経 xTECH)
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 スマートフォンなどを音声入力端末として活用し、会話の音声データを自動でテキスト化する。会話の内容を確実にテキスト化するために、雑音に強い発話検出技術を搭載した。テキスト化した後に、電子カルテに必要な部分を選択してコピーする。必要に応じてテキスト部分の音声を再生することもできる。

展示会でのデモンストレーションの様子(撮影:日経 xTECH)
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 AI(人工知能)を活用して、テキストの内容を自動で分類したり、テキストを自動的に要約したりする機能の導入も検討する。このうち内容の分類は、主観的データ(S)、客観的データ(O)、評価(A)、計画(P)に分けることを想定する。展示ブースでは、実際に内容をS、O、A、Pに分類したデモンストレーションを披露した。

アドバイスを返すシステムの開発へ

 NECは北原病院グループを運営するKNIと連携し、看護師の発話情報を自動的に分類し、構造化するAIを開発している。展示会で参考出展した。北原病院グループでの実証の結果、看護師の記録業務にかかる時間が減ることが分かったという。

NECなどが開発するシステムのコンセプト (撮影:日経 xTECH)
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 音声入力したテキスト内容は、そのままでは記録として利用しにくい。開発中のAIは、「テキスト含有認識」を利用し、音声情報を電子カルテの書式に分類したり、「熱」「血圧」「その他」など自動でラベルを付けたりする。NECとKNIは今後、ラベル付けした情報をAIに学習させ、看護師が発話した内容から推測してアドバイスを返すようなシステムの開発を進める予定。

スマホから電子カルテに記録

 医療現場で音声入力が実用化されているのは、石川記念会HITO病院(愛媛県四国中央市)で検証されたアドバンスト・メディアのシステムだ。スマートフォンから音声入力し、無線通信で電子カルテに情報を記録する。(関連記事1、関連記事2)。今後は、対応できるOSを米アップルの「iOS」以外に米グーグルの「Android」にも広げる予定。

音声入力したテキストを簡単な操作で電子カルテに送付できる(撮影:日経 xTECH)
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