「一般に考えられているよりも早い時期に固体電解質は実用化される」――。電池メーカーの米A123システムズ(A123 Systems)のセル製品開発担当バイスプレジデント(VP, Cell Product Development)のBrian Sisk氏は、先進車載電池の国際会議「19th Annual Advanced Automotive Battery Conference(AABC 2019)」(2019年6月24~27日に米国サン・ディエゴで開催)でこう公言した(図1)。

図1 A123 Systemsのセル製品開発担当バイスプレジデント(VP, Cell Product Development)のBrian Sisk氏
図1 A123 Systemsのセル製品開発担当バイスプレジデント(VP, Cell Product Development)のBrian Sisk氏
(撮影:日経 xTECH)
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 同氏によれば、同社では固体のポリマー電解質を使った固体ポリマー電池セルを段階的に進化させていく戦略という。まずは、既存のニッケル-マンガン-コバルト酸リチウム(NMC)正極やグラファイト負極と、ポリマー電解質を組み合わせたセルを実用化。次いで、段階的に先進的な正負極材に置き換えていくとする。具体的には、次のステップとして負極材をグラファイトとシリコン(Si)に置き換え、その次のステップで負極材をリチウム(Li)金属に代替、最終的には正極材を先進的な正極材に置き換えていく。

 このような構想を描くのは、「(将来的には)NMCとは違う新しい正極材がエネルギー密度を増加させる可能性があるが、2030年までは研究室内のものであり、2035年までは車に載らないだろう。Li金属負極もサイクルの課題を解決するまでに似たような期間を要するとみられる」と考えるからだ。同氏は「固体電解質のいくつかは既に実用化可能な状態にあり、2023年までにクルマに載り得る」とする。

 そうした構想の一部を具体化したのが、同社が今回明かした以下の計画である。同社は既に、提携先の米イオニック・マテリアルズ(Ionic Materials、IM)のポリマー電解質と、NMC811正極、グラファイト負極を組み合わせた容量16Ahおよび10Ahの固体ポリマー電池セルを試作済み。同社はこれらを基に、2019年第4四半期には容量50~60Ahの固体ポリマー電池セルを作製する計画とする。さらに、2020年第1四半期には同セルのAサンプルを、2021年の早い段階には同セルのBサンプルを自動車メーカー向けに提供開始、2022~2023年には同セルの生産を開始する計画という。

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