遠隔画像診断事業を手掛けるワイズ・リーディング(熊本市)の開発したAIによる画像診断レポートの作成支援システムを活用すると、読影時間が合計30%~40%程度削減できる。1人の標準的な業務量である1日60件を読影した場合、AIの支援システムを使わない場合と比較して3時間ほど短縮できることになる。同社の代表取締役で医師の中山善晴氏が、第23回日本医療情報学会春季学術大会シンポジウム2019 in 熊本(2019年6月6日から8日)で講演し、「医師の残業を減らし、過剰に負担がかかる労働環境の改善につながる」と紹介した。

(写真:日経 xTECH)

 ワイズ・リーディングは、放射線科医がいない病院や人手が足りない病院から依頼を受けて、読影レポートを発行している(関連記事)。1日約250件から300件の依頼を受ける。「画像診断が身近になった反面、1人の放射線科医が扱う画像の枚数は飛躍的に増えた。医師の体がもたない」と中山氏は語る。

 そこで、自社で読影を支援するシステムを開発しようと思い立った。「どの工程に負担がかかっているかを洗い出したところ、読影リポートを作成する工程に改善の余地があることが分かった」(中山氏)。読影リポートの作成には、画像のパターンごとに同じような文章をタイピングするケースが多い。そこでエンジニアを自社で採用し、最初の文章を作成すると、次に続く文章の候補が提案される支援システムの開発に乗り出した。

 開発したのは、「Y‘s CHAIN」と呼ばれるシステム。画像診断のための用語辞書を独自に構築した上で、AI(自然言語解析)で文章を学習させた。医師は、提案される文章をクリックすることで、読影リポートの作成を進められる。

 中山氏によると、熊本県を中心に導入する医療機関が増えている。熊本県で36件、南九州地方で3件、近畿地方で1件、東日本で2件導入されている。他にも、米国で利用している医師がいるという。