電子機器のセキュリティーを脅かす様々な攻撃が後を絶たない。例えば、サイドチャネル攻撃。電子機器の電源電流を観測し、そこから暗号鍵などの重要な情報を盗み見る。サイドチャネル攻撃にはさまざまな対策が考案されてきたが、その効果を確かめるには機器を作って電源電流を実測するのが基本で、コストも時間もかかった。今回、効果をコンピューターシミュレーションで確認できる技術を、神戸大学と米アンシス(ANSYS)が共同開発した。この技術を使うことで、サイドチャネル攻撃対策の開発が効率化できると期待される。

永田真氏。口頭発表の後で、ポスターを使ってのQ&Aも行った。日経 xTECHが撮影
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 新技術は、エレクトロニクス/半導体設計の国際イベントである「56th Design Automation Conference:DAC 2019」(6月2日~6日に米国ラスベガスで開催)において、神戸大学教授の永田真氏が講演で発表した。講演タイトルは「A Full System Simulation Technique of Power-noise Side Channel Leakage in Cryptographic Integrated Circuits」(講演番号DT 18.6)である。同氏によれば、電子機器のあらゆる場所(チップ、パッケージ、プリント基板(ボード))で電源電流がサイドチャネル攻撃の対象になる。そこで、同氏は、これら3つすべてを含むモデル、いわゆるCPS(Chip Package System)モデルを使うことにした。

サイドチャネル攻撃では電源電流を盗み見て、暗号鍵を奪う。神戸大学のスライド
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 CPSモデルは電子機器が発生する不要電磁雑音、すなわちEMI雑音の解析に使われてきた。ボードを作る前にCPSモデルを使ってトランジスタレベルの回路シミュレーションを実行することで、EMI雑音が高精度に見積もれるようになり、対策を取るために必要なコストと時間を削減できるようになった。この作戦をサイドチャネル攻撃対策に適用しようというのが、永田氏らのアイデアである。

チップ、パッケージ、ボードのすべてを含むCPSモデル。神戸大学のスライド
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