少し前まで、半導市場のアナリストや半導体メーカーのプレゼンテーションでは、成長率が最も高い半導体は車載向けという見方が支配的だった。ここに来て、それが変わってきた。人工値知能(AI)向け半導体が成長率で1番だとする意見が増えてきた。

Richard F. Valera氏。日経 xTECHが撮影

 56th Design Automation Conference(DAC 2019:6月2~6日)が米国ネバダ州ラスベガスで始まった。初日である6月2日は6つのワークショップなどがあっただけで、展示会や本会議は2日目の6月3日からである。初日に多くの人が集まるイベントは夕方のWelcome Reception(前夜祭)と、その前に行われるEDA業界展望の講演だ。EDA業界展望の講演は、これまで米Gary Smith EDA社から講師が登壇していた。ところが、社名にも含まれる代表のGary Smith氏が死去した後は、内容に不満を訴える声が大きくなっていた。

 今回、EDA業界展望は、Gary Smith EDAから米Needham & Companyへバトンタッチした。登壇したのは、Needham & CompanyのRichard F. Valera氏(Managing Director, Equity Research)である。同氏は、ここ10年ほどEDA業界の調査・分析に携わっているという。複数の市場調査・分析会社の調査・分析結果などを使って同氏は話を進めた。その中で筆者の目を引いたのは、次の3点である。

 目を引いた第1の点は、先進運転支援システム(ADAS)や電気自動車(EV)/ハイブリッド車(HEV)の普及で車載半導体が伸びていること。同氏が見せたデータでは、2010~2015年の車載半導体の年間平均成長率が6.4%だったのに対して、2015~2018年の年間平均成長率は11.1%に高まったという。けん引役は同26.1%のADAS向け半導体と同22%のEV/HEV向け半導体とのことだった。

 目を引いた第2の点は、AI向け半導体の伸び率がさらに高いこと。同氏が見せたスライドでは、2017~2020年の3年間でAI向け半導体市場は2倍に、2020~2025年の5年間でさらに2倍になるとした。米Intelもデータセンター向け事業説明会などにおいて、今後、最も伸び率が高い半導体はAI向けとしている。

 今回のValera氏のAIの話で特筆すべきは、DACでの講演のためだろう、AI向け半導体では、ASICが大きく伸びるという予測を見せたことである。汎用のMPUやGPU、さらにFPGAなどを抑えて、ASICが大きく伸びるという。ASICは品種数(設計数)がMPUやGPUといった汎用ICに比べてはるかに多いため、EDA業界には有難い話である。実際、Valera氏が聞いたという米SynopsysのAart de Geus氏(Chairman and co-CEO)の談話では、SynopsysはAIチップ設計で200社と契約を結んだとのことだった。

この先は有料会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら