前田建設工業のICI総合センター。様々な施設が、協業するベンチャー企業の社員にも開放されている(資料:前田建設工業)
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 建設業と異業種のベンチャー企業がどう協業し、新たな価値を創造するか――。2019年5月28日、ホテル雅叙園東京で開催した「テクノロジーNEXT 2019」で、前田建設工業ICI総合センターの小原孝之イノベーションセンター長と、ミツフジの小副川(おそえがわ)博通・医療プロジェクト室室長が対談を行った。

 まず、前田建設工業の小原氏が、同社のイノベーションへの取り組みを紹介した。前田建設工業は19年に創業100周年を迎え、記念事業として茨城県取手市にICI総合センターを開設。ベンチャー企業と連携して、建設業界にイノベーションを起こすことを狙った施設だ。ICIは、Incubation(孵化)、Cultivation(育成)、Innovation(革新)の頭文字をつなげたもの。小原氏は開設の背景を次のように語る。「前田建設工業は既存の請負業だけでなく、新しいサービスを融合させた『総合インフラサービス企業』への変革を目指している。これからの時代は、建設会社1社だけで新しい価値を提供するのは難しい。より良いサービスを社会に提供するには、異分野企業との共創によるオープンイノベーションは必須で、ICI総合センターはそのプラットフォームとしての役目を担う」。

 同センターはベンチャー企業の挑戦に対し、資金面の支援から社会実装までをワンストップで実現する。多様でユニークな機能で構成される施設は「共創パートナー」にも開放し、設備を自由に活用できる仕組みも用意している。ミツフジも共創パートナーの1社で、ウエアラブル生体情報マネジメントの技術開発で、資金支援から現場での実証実験まで、同センターのサポートを受けた。

 次に、ミツフジの小副川氏が、スマートウエアシステム「hamon」についてプレゼンテーション。ミツフジは63年前に西陣織工場として京都で創業した歴史ある企業だが、国内の繊維業の衰退に合わせ西陣織の工場は稼働を終え、その後、高電導性銀メッキ繊維の開発をスタート。「生体情報で人間の未知を編みとく」をテーマに、ウエラブルIoTの企業へと業態変容を果たしている。その取り組みは、既存の製造業にはないベンチャー的な性格が色濃い。

 ミツフジが開発した電導性繊維のスマートウエアは、着用した人の生体情報データを取得し、ストレス値などの情報をトランスミッターを通して発信。スマホや管理者画面などで心電波形や心拍などのモニタリングとマネジメントが可能になる。ウエア開発と同時に、データ分析とアルゴリズム開発などを自社内で手掛けた。高齢者や乳幼児の健康状態のモニタリングや熱中症対策など、今日的な社会ニーズに応える技術として注目されている。

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