「データベースの存在やAIへの投資などが、イスラエルでデジタルヘルスのベンチャー企業が多い理由だ」――。mHealth IsraelでFounderを務めるLevi Shapiro氏は、「テクノロジーNEXT2019」(主催:日経xTECH、日経クロストレンド、日経BP総研)の3日目(2019年5月29日)に開催された「デジタル医療 最前線 2019」に登壇。「イスラエルで台頭するデジタルヘルス・ベンチャー」と題して、イスラエルにおけるデジタルヘルス分野でのベンチャー企業の現状を紹介するとともに、その特徴や日本との違いなどを解説した。

mHealth IsraelでFounderを務めるLevi Shapiro氏(撮影:スプール)
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 イスラエルでベンチャー企業向けの投資やコミュニティー運営を行っているShapiro氏によれば、イスラエルは世界でトップ3に入るようなデジタルヘルスの事業を展開しているという。その理由の1つとして挙げられるのが「スキルを持った人材が多い」ということ。人口当たりのエンジニアの数は、OECD諸国の中で最も多いという。

 人材を求めて約300社の多国籍企業が研究開発拠点をイスラエルで展開しており、「ベンチャー企業の流動性を促進するとともに、グローバルな製品を扱う経験の蓄積にひと役買っている」(Shapiro氏)。多国籍企業による「オープンイノベーションや買収なども多い」そうだ。

 イスラエル政府の取り組みも非常に協力的で、ベンチャー企業向けのプログラムを豊富に用意して知財や研究開発の製品化を後押ししている。Shapiro氏によれば「投資家はその分野にあまり手を出したがらないため、政府がサポートしている」という背景があり、開発コストの最大50%まで補助金を出すプログラムもあることから、投資家にとっても「リスクが下がる点で助かる」と分析する。

 以前であればベンチャー企業の資金調達はなかなか厳しい状況にあったが、政府が役割を果たすことで「イスラエルにおける昨年のベンチャーへの投資額は58億ドルにものぼる」(Shapiro氏)。このようなベンチャー企業をサポートするエコシステムができているからこそ、イスラエルのデジタルヘルスは大きく推進しているわけだ。

 イスラエルのデジタルヘルスにおけるこれまでの投資環境を振り返ってみると、過去20年で3回のブームが起きている。そのブームの要因としては、2000年代前半の1回目が「3G」、2000年代後半の2回目が「オバマケアによる規制緩和」、そして2010年代前半の3回目が「AIやビッグデータ」となっており、多くのベンチャーやスタートアップが医療問題を解決する技術やソリューションの開発に取り組んできた。

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