マイクロLEDディスプレーの原点とも言える「Crystal LED Display」の1号機を2012年に発表し、マイクロLEDの火付け役となったのがソニーである。その後、Crystal LED Displayは市場投入されたが、技術内容は長い間ベールに包まれていた。最初の発表から7年の時を経て、2019年5月に米国サンノゼで開催されたディスプレーの学会「SID 2019」に同社が登壇。技術内容を学会で初めて公開した(図1)。

 ソニーのCrystal LED Displayは、1.26mm角の画素の中心に、チップサイズがそれぞれ約20μm角の3色(赤、青、緑)のマイクロLEDを配置している。画素中に占めるマイクロLEDの面積は画素全体の1%以下であり、残りの99%以上は黒い表面である。これによって極めて高いコントラスト比を実現している。また、LEDチップが小さいことは、LEDを搭載したセルと呼ぶ小さな基板を連続的に並べて大画面化する際に、セル同士の隙間をなくし、つなぎ目を見えにくくすることに対しても有利だという。これらはソニーが既に明らかにしているが、今回の学会発表でも改めて強調した。

 SID 2019で初めて明らかにしたのは、マイクロLEDの駆動方法である。シリコン(Si)ベースの微小なIC(マイクロIC)をマイクロLEDとともに各画素に配置し、アクティブパルス幅変調駆動でLEDを制御していることを明らかにした。この駆動技術によって、LEDに電流を流すと発光波長がシフトする問題を解決し、大面積LEDディスプレーの輝度と色を安定させることができたという。

図1 ソニーの発表風景
マイクロLEDの火付け役となったソニーの講演には、シンポジウム初日だったことも合わせて盛況だった。広い会場を埋めた聴講者が、発表スライドの1枚1枚に見入っていた。スライドに映っているディスプレーが2012年に発表したCrystal LED Displayの1号機である。この発表によって、マイクロLEDディスプレーの開発競争に火が付いた。(撮影:テック・アンド・ビズ。スクリーンの内容はソニーのデータ)
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