ディスプレー分野最大の学会「SID」(2019年5月12~17日、米国サンノゼ)の展示会では、透明ディスプレーの展示が続出した。スマートフォンやテレビに使われている有機EL液晶を応用した開発品にとどまらず、マイクロLEDや調光型スクリーンなど様々な方式の透明ディスプレーの展示が相次ぎ、多彩なアプローチで各社が開発を進めている様子が見えた。

マイクロLEDで、高輝度と長寿命を両立

 これまでの透明ディスプレーの開発は、有機ELを用いたものが多かった。有機ELはバックライトが不要で、1枚の透明なパネルだけで映像を表示できるからだ。有機ELの課題は、輝度と寿命である。特に透明ディスプレーの場合、背景が明るいため、その明るさに負けないように高輝度にしなければならない。ところが、輝度を高めると、トレードオフの関係にある寿命がさらに短くなってしまう。

 こうした有機ELの課題の解決策として、マイクロLEDによる透明ディスプレーの提案が出てきた。今回のSIDでは中国の天馬微電子(Tianma Micro-electronics)や華星光電(China Star Optoelectronics)が展示した(図1、図2)。有機ELよりも格段に高輝度で長寿命の無機LEDを画素に使う。

 天馬のマイクロLED透明ディスプレーは、低温多結晶Si(LTPS)TFTでアクティブマトリクス駆動する。台湾のマイクロLEDのベンチャー企業であるPlayNitrideと共同開発した。輝度は600cd/m2以上、透過率は60%以上を実現した。画面サイズは7.6型、画素数は720×480、精細度は114ppi、色域はNTSC比116%である(図1)。

図1 天馬微電子のマイクロLED透明ディスプレー
(撮影:日経 xTECH)
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 華星光電のマイクロLED透明ディスプレーは、酸化物半導体IGZOのTFTでアクティブマトリクス駆動する。IGZOを使うため、将来の大画面化に有利だと主張している。今回の試作品の画面サイズは3.3型、画素数は232×116、画素ピッチは0.32mm、階調は8ビット、色域はNTSC比100%以上、透過率は約45%である(図2)。

図2 華星光電のマイクロLED透明ディスプレー
(撮影:日経 xTECH)
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