コニカミノルタはこのほど、AI技術を用いて医用画像を解析するベンチャーの米Enlitic社や丸紅と共同開発契約を締結した。その第一弾として、胸部単純X線画像から異常部位を検出する技術を開発する。コニカミノルタは、2019年4月12日から14日まで開催された「2019国際医用画像総合展(ITEM2019)」で、今回の共同開発の内容などAIを活用した技術の展開について発表した。同社が、ITEMでAI関連のプレゼンテーションを行うのは今回が初めて。

コニカミノルタの展示ブース
(写真:日経 xTECH)
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 胸部単純X線画像は、医療現場で一般的に撮影されており、一人の患者に対して比較的数多く撮影される。医師は、複数の組織が重なって写る大量の画像を確認し、その中から病変を識別する必要がある。医師の負担を減らすため、コニカミノルタとEnlitic社は、胸部単純X線画像から病変を見つけるAIの開発を進める。

 Enlitic社は、深層学習を活用した医用画像の解析技術を持つ企業。百万症例規模の医用画像データを保有しており、それらを学習させたアルゴリズムを構築している。丸紅はEnlitic社の株主である。

 一方コニカミノルタは、胸部画像を解析しやすくするため、画像処理によって肋骨のコントラストを下げ、骨に重なる部分に存在する病変を見つけやすくする「Bone Suppression(肋骨減弱)処理」や、現在と過去の画像の変化分を可視化し、病変を見つけやすくする「Temporal Subtraction(経時差分)処理」を開発してきた。

動画像の解析にもAIを応用する方針

 コニカミノルタは、Enlitic社との共同開発とは別に、X線の動画像を解析して、医師の診断を支援するシステムを開発した。一般的にX線検査は、静止画の撮影で行われる。だが同社によると、動画像は臓器の動きなども含めて解析でき、診断の精度が向上すると考えられるという。

 これまでに、呼吸器内科系の慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者を対象とした臨床研究で、COPD患者の横隔膜の動きが健常者と異なることが論文で報告されている。例えばX線の動画像を解析すると、横隔膜の移動量や肺の大きさの変化量が分かる。同社は、X線の動画像の解析結果が医師の診断を支援する指標になることを期待している。他にも、肺胞や肺の血管、肺の挙動なども解析できる。コニカミノルタは、X線の動画像の解析について複数の大学や医療機関などと共同研究を進めている。将来的には、動画像の解析に関してもAIの技術を取り入れる方針だ。

 同システムは、コニカミノルタが開発したX線動画解析ワークステーション「KINOSIS(キノシス)」と、島津製作所の診断用X線装置「RADspeed Pro」から構成される。X線の動画像は、診断用X線装置RADspeed Proで、X線を1秒間に約15回連続照射し、コマ撮りした画像を連続表示することで得られる。