ICTによるデジタル変革をテーマにした大型イベント「札幌デジタルイノベーション 2019」(主催:日経BP)が2019年7月18日、札幌コンベンションセンター(札幌市)で開幕した。セミナー会場では、みずほフィナンシャルグループ(FG)の黒須義一リテール・事業法人業務部 IT・システム企画部 参事役、CCoEが「<みずほ>がチャレンジする、組織と文化のデジタル化」と題し、同社のクラウド活用のポイントを講演した。

みずほフィナンシャルグループ リテール・事業法人業務部 IT・システム企画部 参事役、CCoEの黒須義一氏
(撮影:渡辺 可緒理)
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 「みずほのクラウド基盤を企画し、利活用を促進するのがミッションだった」。2017年末に富士ゼロックスからみずほFGに転じた黒須氏は、当時をこう振り返った。これまでクラウド活用を進めてきたなかで、黒須氏がポイントに挙げたのが、ユーザー部門の巻き込みだ。

 「ビジネスの拡大やコスト削減といった課題を持っているのはユーザーである。IT部門はそうしたニーズをくみ取って形にする役割。だからユーザーを巻き込んでいないと駄目」。黒須氏はこうした考え方を行内に説明して回ったという。

 クラウド活用では、まずはIaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)をきちんと使えるレベルを目指した。「一足飛びにPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)やサーバーレスを目指すのではなく、ネットワークやサーバーといった”土台”を理解するのが大切だと考えた」(黒須氏)。

 クラウドサービスとして黒須氏は米アマゾン・ウェブ・サービス(Amazon Web Services)の「AWS(Amazon Web Services)」を選んだ。理由について「最も売れているものを使う。世の中に情報も多いし、助けてくれる人もパートナーも多い」と説明した。

 「クラウド化は変革のキッカケにすぎない」。黒須氏はクラウド導入を目的にしないことも大切だと強調した。「システムの作り方が変わると業務のやり方、つまり働き方が変わる。それが根付けば人のマインドが変わり、企業文化を変革できる」。黒須氏は富士ゼロックスでの経験に基づき、みずほでのクラウド活用を進めてきたという。

 クラウドを行内に浸透させるのに大きな役割を担っているのが「CCoE(Cloud Center of Excellence)」だ。事業部横断の仮想的な組織で、IT部門とユーザー部門のメンバー40~50人で構成する。AWSのサービスを組み合わせてセキュリティー監査やログ収集といった共通基盤を運営したり、各部門からクラウドに関する相談を受けたりしているという。

 ユーザー部門とIT部門が二人三脚でクラウド活用を進めるなか、事例も増えてきた。例えば「Mizuho Lite CMS」は、グループ内・関連会社の資金貸借と支払いをWeb上で管理するサービスだ。従来はオンプレミス環境で運用していたがクラウドに移行した。「利用会社の増加に対してオートスケールで対応できるようになり、従来のサーバー増設に比べてコストを約50%下げられた」(黒須氏)。現在、コールセンターのAWS化にも取り組んでいるという。