ICTによるデジタル変革をテーマにした大型イベント「関西デジタルイノベーション 2019」(主催:日経BP)が2019年5月30日、大阪・梅田のグランフロント大阪で開幕。セミナー会場では、「ダイソーがPOSシステムを刷新、クラウドを選んだワケ」と題し、大創産業 情報システム部 システム開発1課の丸本健二郎課長が、同社のクラウド活用について講演した。

大創産業 情報システム部 システム開発1課の丸本健二郎 課長
(撮影:北森 幸)
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 「クラウドファーストではなくクラウドオンリー」。講演の冒頭、丸本氏は同社の全システムをクラウドへ移行する方針を示した。その上で、クラウド活用のきっかけとなった「自動発注システム」の構築について説明した。

 5000を超える店舗では、需要を予想してスタッフが商品を発注するが、その精度に課題があった。「2割の売れ筋商品で8割を稼ぐ」(丸本氏)世界だが、商品数は7万点を数え、毎月800点の新商品が追加されるなど、人が予測するには難しい条件だ。対策として、POSデータを集めて分析し発注商品をレコメンドするシステムを構築。100店舗で試験運用したところ、「欠品率が下がり、売り上げが伸びた」(同氏)。

 効果を実感した経営陣から全店舗に展開せよと号令が下ったが、そこでオンプレミス環境の壁に突き当たった。分析対象のデータ量が膨大になり、200店舗分の処理が限界だった。5000店舗の157億レコードに上るデータを処理するには「スケールアップ型では無理と判断し、スケールアウト型のクラウド(AWS)を採用した」(丸本氏)。

 AWSの活用経験を踏まえ、丸本氏はクラウドとオンプレミス環境の比較に話を進めた。比較項目は、調達やネットワーク遅延、BCP対策など7項目。従量課金のリソースをうまく使えば、いずれもクラウドのほうが有利と説明。クラウド利用でインフラ担当者をビジネス側へシフトできる、「人員配置とキャリア」面のメリットも挙げた。

 丸本氏は、「効率性、移植性、信頼性に優れるクラウドだがコストには注意が必要」と指摘。うまく使わないと、オンプレミス環境より高くつくという。クラウドの活用法として「なんちゃってクラウド」「しっかりクラウド」「サーバーレスクラウド」の3種類を示し、コストの違いを説明した。

 「なんちゃって」は処理のピークに合わせてリソースを確保しておくので、最もコストがかさむ。「しっかり」は処理負荷に応じてリソースを増減させてコストを抑える。最もコストが低い「サーバーレス」は、イベント駆動により、処理するときだけリソースを確保する手法。丸本氏は、AWSのイベント駆動型サービス「Lambda」を活用して構築した「POSデータ保持サービス」と「分析サービス」を紹介した。

 「あくまでPoCだが」と前置きしながら、丸本氏は「なんちゃって」と「サーバーレス」のコスト比較を披露。POSデータ保持サービスは「なんちゃって」が月額50万円、「サーバーレス」が月額8万円。分析サービスは「なんちゃって」が月額150万円で「サーバーレス」が月額13万円と「サーバーレスの活用でいずれも10分の1以下にコストを抑えられた」(丸本氏)。

 最後に、丸本氏は「なんちゃってクラウドはNG。クラウドは特徴を理解して活用すれば、高品質なサービスを低価格で使える」と結んだ。