効率化と再投資をセットで考えるべし

講演の様子
(撮影:筒井誠己)
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 では、今後自動車産業のプレーヤーはどうすべきか。クルマの企画・開発の面では、「クルマの使われ方が多様化する一方で、その多様な使い方に効率よく対応できる標準化されたモジュールやプラットフォーム、車両が求められる」と長島氏は指摘する。その上で、シミュレーションを駆使して“こういう使い方をするならこういうクルマが必要だろう”といった提案ができる力が競争力の源泉となるという。

 移動サービスでは、地域ごとのニーズに対応するニッチプレーヤーと、世界に共通するニーズに対応するグローバルなプレーヤーとに二極化するとみる。「地域のニーズとグローバルに共通なニーズの見極めが肝心」(長島氏)。ニッチプレーヤーとしては、地域独特のニーズをくみ上げられる企業や人の活躍が広がるだろうという。

 講演の最後には、日本が目指すべき姿に触れた。これまでの自動車産業は「モビリティーによる効率的な移動」を追求して稼働率の向上や低価格化に注力してきた。しかし、「”移動”という視点だけでは、少子高齢化と効率化で人もクルマも減る中、経済は縮小する」(長島氏)。これからは、「モビリティーで社会を活性化する」という感覚を持つべきだと同氏は指摘した。活性化とは、移動・滞在の需要を創出し、新たな出会いや経験・交流を促進するような場を生み出すことを指す。そのためには、効率化はもちろん必要だが、その効率化で生み出した原資をあらたな価値創出に再投資する必要があるという。「効率化と再投資を常にセットで実施すべきだ。それにより自治体や他産業、住んでいる人を巻き込んだモビリティー社会を作れれば、街が活性化して少子高齢化社会でも今後の発展が見込める」(長島氏)。

図 日本が目指すべきゴール
(出所:ローランド・ベルガー)
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