2019年2月19日、日経BP社主催のイベント「東京デジタルイノベーション 2019」が開かれた。ソニー銀行の神戸大樹システム企画部シニアマネージャーが講演し、同社の基幹システムにおけるクラウド活用について明かした。

ソニー銀行の神戸大樹システム企画部シニアマネージャー
(撮影:新関 雅士)
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 同社は基幹業務システムの一部にAmazon Web Services(AWS)を導入しており、その経験を元にクラウドサービスを利用することのメリットを語った。明確な優位点は、オンプレミス型のシステムと比べてシステム開発の時間とコストを削減できることだ。同社の場合、開発期間は半減しインフラコストは40~60%削減できたという。

 導入後の柔軟性が高い点もメリットだ。個別の案件で急きょ新しいサーバーが必要になった場合や、新しいシステムの検証も容易にできる。稼働状況に応じてインスタンスの内容や数を変更することで最適化もできる。例として、夜間は使用しないインスタンスは停止する、24時間稼働は必要だが夜間は利用者が少ないなら昼夜でインスタンス数を変えるといった調整ができる。

 ある程度の期間運用した後に使用するインスタンスを見直すことで、パフォーマンスが不足しているところは強化し、反対に余裕があるところは減らすといった形でコストと性能のバランスを取ることも可能だ。このようなシステム規模の調整は、一度導入すると変更が困難なオンプレミス型のシステムに比べた利点と言える。

 一方でクラウドならではの注意点もある。オンラインで利用するため、セキュリティーはより重要になる。外部委託企業との連携も、同社は通常のチェックリストに加えてクラウド固有の事情を考慮したリストを用意している。また、システムのどこまでが事業者側の責任で、どこからが自社の責任の範囲になるかは事前に明確にしておく必要があるという。

 システムにクラウドを導入するにあたっては「クラウドデザインパターン」を構築することが重要だという。同じ用途のシステムとしても、オンプレミス型で最適と考えていた構成がクラウドでも最適とは限らないためだ。「クラウドサービスの特徴や機能をきちんと理解し、適した構成を検討することが重要だ」(神戸氏)。

 同社は次期基幹システムを全てクラウドで構築することを目標としている。現在はまだオンプレミス型のシステムでまかなっている業務も、複数のクラウドサービスを並列に利用し、相互に接続することですべてがクラウド上で完了するシステムを目指す。神戸氏は、今後は「どこまでクラウドにするかではなく、どのクラウドにするかを考えることが重要だ」として、講演を締めくくった。