2019年2月19日、パルコのグループICT戦略室担当執行役の林直孝氏は、ザ・プリンスパークタワー東京で行われている「東京デジタルイノベーション 2019」で、「デジタルテクノロジーとショッピングセンターの未来」と題してキーノート講演をした。

パルコの執行役グループICT戦略室担当である林直孝氏
(撮影:新関 雅士)
[画像のクリックで拡大表示]

 パルコは現在、テクノロジーを使った「接客の拡張」に軸を置き、これによって顧客1人ひとりの満足度を最大化することを目指している。この実行のために作られたコンセプトが、テナントショップのスタッフと顧客がコミュニケーション可能なオムニチャネルプラットフォームを作る「24時間PARCO」という考え方だ。「スマートフォンの誕生・普及」がきっかけにあり、まずは2013年にスタッフが自由に投稿するショップブログをスタートさせて、商品や接客に関する情報を拡充した。次にブログ情報からの買い物が可能になるECサイト「カエルパルコ」を実装し、さらに2015年にはその機能をアプリ化した「ポケットパルコ」をリリースした。

 アプリによってユーザーの行動分析が可能になった。アプリから得られる情報を可視化するとともにAI(人工知能)を活用することで、来店前~来店中~来店後に至る「個客理解」(林執行役)が可能になったという。これらが来店と販促に役立っている。

 アプリの機能に「パルコウォーキングポイント」を追加し、チェックイン後に店内を歩くとポイントを得られる仕組みも導入した。「館内回遊の増加をはかり、店内での新しい商品の出会いを促す意図がある」(林執行役)。実際に来店客が訪れる店舗数や客単価が上がったという。

 一方で「アプリを使っていない顧客の行動データはほぼ把握できない」(林執行役)。商品情報・在庫情報を持たないため「顧客の行動データに基づく商品単位の推奨ができない」(同)ことも課題とする。ただ、IoT(インターネット・オブ・シングズ)やロボット、AIなどによって「課題が解決される可能性はある」と見ている。既にカメラと顔認識技術、AIを活用して来店顧客の属性を見える化する取り組みを始めているほか、2015年からロボットの試験導入も進めている。VR(仮想現実)やAR(拡張現実)の活用も進めており、実現すれば「売り場や接客の概念が変わる」と林執行役は強調する。

 現在、米アマゾン・ドット・コム(Amazon.com)をはじめとするeコマース事業者がリアル店舗にチャネルをシフトしている。この動きに対して林執行役に対抗意識はなく、「オンラインが起点か、オフラインが起点か。その違いでデータ活用は変わる」と考えている。例えば、パルコのようなショッピングセンターは「商品を探すことに意味があり、コミュニケーションも重要になる」ため、「納得がいく商品と確実に出会えるようなサービスを、デジタルテクノロジーを活用して構築していく」と締めくくった。

■訂正履歴
公開当初、講演内容とは無関係な記述があったため削除しました。本文は修正済みです。[2019/2/20 10:50]