またドライブレコーダーのようにラインの稼働状況を常時録画しておき、トラブルが発生したときにその要因を深掘りする「レトロフィットカメラ」も活用。

 「不具合は分かったものの、どういう現象なのかが非常に分かりにくかった。しかしレトロフィットカメラによってトラブルが起きた状況だけを見直すことができるようになったため、トラブル停止を削減できた」(森川氏)

ディープラーニングを用いて精度の高い検査を実現

 品質検査の面で新潟工場は、AIによる省人化と精度向上を実現している。

 「LEDパッケージをたくさん並べて光らせたモジュールを生産しており。通常は実装後全数自動検査するしくみを導入している。検査装置による合否判定が微妙な場合は人が目視検査する。このため非常に多くの人員を用意する必要があった」(森川氏)。この検査工程にAIを採用。人による見逃しを減らし、大幅な省人化を実現した。さらに双腕ロボットを活用し、傾けないと隅々まで見えない基板を検査できるようにした。部品の浮きや傾きをロボットや画像検査、AIを組み合わせて見ることでかなりの効果を出せた」(森川氏)

動的生産計画の実現に向けて取り組む

 現在、新潟工場が力を入れて取り組んでいるのが、「動的生産計画」の実現だ。カーナビゲーションシステムが渋滞などを検知して迂回路を提案するように、需要や設備の故障といった変動に応じて、生産計画を自動的に変更するしくみの導入を狙う。

 「通常時は受注やマスターデータを基に、最速で造れる工程をシミュレーションで割り出して製品を造るラインや工程を選ぶ。しかし突発的な設備トラブルが起きた場合には故障した工程を迂回して造れるように工程を変える必要がある。

 特急での納品を求める発注を受けて急きょ何かを造るときにどのラインを使うのが効率的な瞬時に判断して計画が立てられると便利だ。このように動的な生産計画を自動で立てられるようなシステムを現在考えている。これの導入でスマートファクトリー化をどんどん加速させていきたい」(森川氏)

スマートファクトリー化で人材育成にも新たな課題

 スマートファクトリー化を進めてきた中で見えてきた課題は人材だ。これまでとは違う人材の確保や育成が必要だと森川氏は語る。

 「IT系、制御系の人材はいるが、実際にやってみると(ビッグデータ化するための)つなぐ部分の標準化や、出てきたデータをどう分析するかといった手法の整理や標準化といった仕事できる人間が社内に少ないと分かってきた」と森川氏は明かす。

 「社内に横串を刺す仕事を、それぞれの担当者が担うとその人の仕事が滞る。横串を刺すためだけに新たなコーディネーターが必要になる。工場だけでなく本社や生産技術部門が連携し、コーディネーターがまとめてプロジェクトとして仕上げていく手法を導入して現在、進めている」と明かし、講演を締めくくった。

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