コマツの四家千佳史執行役員・スマートコンストラクション推進本部長は2月19日、東京都内で開かれている「東京デジタルイノベーション2019」で、同社が2015年に始めたスマートコンストラクションの取り組みの経緯と将来の展開について講演した。

コマツ執行役員・スマートコンストラクション推進本部長の四家千佳史氏
(撮影:新関 雅士)
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 国内の建設現場では2025年までに技能労働者の4割が離職し、100万人以上の労働者不足に陥るといわれている。コマツは2013年から、課題解決の鍵を握る生産性向上に向けて、3次元の図面通りに自動制御できるブルドーザーや油圧ショベルを市場に投入。最新の建機とその機能によって、現場の最適化に取り組んできた。

 しかし、「建機の機能向上だけでは、生産性が上がらないことが分かった」と四家本部長は打ち明ける。建機が現場で動くのは、盛り土や法面の整形など建設生産プロセスの一部にすぎず、ダンプトラックによる土砂の運搬といった前後の工程にボトルネックが生じていたからだ。

 こうした状況を打開するため、コマツは顧客に提供する価値として、従来の「モノ(建機)」や「モノの機能」から脱却。設計図面や現場の状況、建機、土砂などの情報を幅広く3次元データ化し、建設生産プロセスという顧客の「コト」をつないで最適化、見える化することで課題解決を目指す「スマートコンストラクション」のサービスを2015年に開始した。

既に7300超の現場に導入

 「当初はスマートコンストラクションで本当に効果は上がるのか、という懐疑の念が導入の壁になっていた」と四家本部長は話す。そこで、同社のウェブページ上で成功事例を随時紹介し始めたほか、最新の建機やドローンの性能などを体感できる「コマツIoTセンタ」を全国11カ所に開設。スマートコンストラクションへの理解を促している。

 さらに、これまで7300を超える現場に導入することで、省人化や工期短縮に貢献してきたという。講演会場では、現場経験がない同社の事務職の女性社員5人が、スマートコンストラクションで道路の路床工事を完成させた動画やデモの様子などを上映した。

 最後に、四家本部長は人とハード、ソフトが、顧客の現場で一緒に進化する次世代のスマートコンストラクションの姿を紹介した。「既に海外の鉱山では、無人運転の大型ダンプを運用している。建設現場の無人化にもチャレンジしており、今春にも無人建機を現場に導入したい」と説明。「将来は建機同士が協調し合い、安全で作業性の高い現場を実現することで、新しい人材や職能、働き方が生まれ、建設現場の全てを変えていくはずだ」と展望を語った。

講演会場には多くの聴衆が訪れた(撮影:新関 雅士)
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