金融機関向けのセキュリティー対策に従事する金融ISACの鎌田敬介専務理事/CTOは2019年2月19日、ザ・プリンスパークタワー東京で開催中の「東京デジタルイノベーション 2019」のキーノートに登壇した。これまでの経験を踏まえ、これからの時代を担う人材に必要なIT・セキュリティースキルとセンスなどについて語った。

金融ISACの鎌田敬介専務理事/CTO
(撮影:新関 雅士)
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 近年、IT業界にはAI(人工知能)やRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)、IoT(インターネット・オブ・シングズ)、ブロックチェーンなど、次々に新しいキーワードや概念が出てくる。これらを理解するにはベースとなる知識や経験が不可欠で、新しいものに対しての学びが必要となる。しかし、現代は「変化が激しい時代」で新しいものが登場するサイクルも短くなっていることから、「学びのサイクルを短縮しなければ追い付けない」(鎌田氏)。さらに「デジタルネーティブと言われる概念を持つ新たな価値観が主流になりつつある」ことにも注目する。

 では学びのサイクルが早い現代感覚の人にはどんな特徴があるのか。鎌田氏は「ゴールまでの道筋が見えていなくても、まずは試してみる」「インターネットなどを活用し、自分以外の力に頼って実現することに慣れている」「突破力が高い、あるいは別の道を模索する力にたけている」「世の中の変化にアジャストするサイクルが早い」ことなどを特徴に挙げた。しかし一般的な企業で働く社会人には「学びのサイクルを短くするための基礎体力が圧倒的に不足している」と指摘し、現代的な価値観で新しい価値を作れる人材の条件として、「国際団体ATC21sが提唱する21世紀型スキルを備えている」「IT方面の基礎がある」「好きでやっていて、仕事と趣味の境目が希薄である」「トライ&エラーで試行錯誤しながら問題解決にたどり着ける」などを示した。

 鎌田氏は「人や組織全体が過去の価値観から現代的な価値観に変化しいくことが、トランスフォーメーションあるいはイノベーションではないか」と提案した。しかし現状では「数値化されないと先に進めない人が多く、待っているとどんどん遅れてしまう」と注意を促し、「数値化されない状況で先に進む決断のできる経営層が、今後の組織には必要となる」ことを強調した。また、学習サイクルのスピードが上がっているなかで「ITが中核を担う存在になっている」と語った。

 デジタルトランスフォーメーションのカギは「デジタルネーティブな人材」であり、組織はそういった人材を理解することが求められる。ただし、多くの組織で「デジタルネーティブはマイノリティーである」ことから、その価値観や感覚の違いを埋めることが課題となる。この課題に対して、鎌田氏は「双方を理解して橋渡しできるような人材が貴重になるのではないか」と助言して講演を終えた。