どうしたら営業力を強化し、業務を効率化できるのか――。2019年2月19日に開幕した「東京デジタルイノベーション 2019」のキーノートに、アイ・ティ・アール(ITR)の三浦竜樹氏が登壇。「SalesTech(セールステック)による営業強化と業務効率化」について語った。

アイ・ティ・アールのシニア・アナリストである三浦竜樹氏
撮影:新関 雅士
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 講演の冒頭でアイ・ティ・アールの三浦竜樹氏は、「FinTech(フィンテック)やAgriTech(アグリテック)、InsurTech(インシュアテック)など様々なクロステック領域が登場してきているが、その中でもSalesTechの認知度は極めて低い」と切り出した。ITRが実施した調査によると、「SalesTechの詳しい内容を知っている」と答えた営業部門は調査対象の4%にとどまったという。

 認知度が低い背景には、「SalesTechの定義が世界的にまだ定まっていないことがある」と三浦氏。それを踏まえ「革新的な技術を採用して営業活動の特定の領域を従来よりもさらに効率化するシステムおよびサービスである」とSalesTechを定義する。

 なぜ今、SalesTechに注目すべきなのか。営業部門の多くはSFA(営業支援システム)を活用しているが、SFAに対する期待と実際の効果の間に大きなギャップが存在するからだという。SFAは案件管理や顧客管理の見える化などで有用だが、「提案力の強化や営業スキルの標準化につながると期待したものの、そうした効果は期待できないと、SFAの運用開始後に改めて気がつくユーザー企業が多い」(三浦氏)のだという。

 その結果、「提案力が高い営業担当者はどんな顧客対応をしているのか」「できる担当者は見込み顧客のステージごとにどのような説明資料を使い分けているのか」「どのようなトレーニングで営業スキルの標準化を図ればいいのか」などを把握し、ノウハウをまとめ部員で共有するニーズが生じた。それらを支援するソリューションがSalesTechなのだ。

 SalesTech領域のなかでも、一番注目されているのが「セールス・イネーブルメント」ツールだという。三浦氏は当該ツールを「セールス時に利用するコンテンツを中核に据えて業務を効率化・高度化し営業を強化する製品やサービス」と説明する。同ツールは「コンテンツの作成・更新」や「コンテンツの保存・管理」など7つの主要な機能で構成されている。当該ツールで作成済みの提案資料群を管理すれば、どの資料の何ページ目のスライドが一番利用されたかなどを精緻に把握できる。一般的なファイルサーバーのようなツリー形状のフォルダ構成で管理していないので、提案書を再利用する営業担当の役職や提案書の中で取り上げた技術など、「様々な軸で保存・管理している提案資料を簡単に分類して表示できる」(三浦氏)。

 少子高齢化による労働人口の減少などから営業人材が不足しつつあり、営業活動の効率化やスキルの向上などで売り上げを拡大しなくてはいけない企業は今後増えていく。「SalesTechはSFAでは解決できない営業部門の課題を解決できる注目すべきソリューションである」。三浦氏は講演をこう結んだ。