「エンドユーザーだけでもRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)のロボットを作れるが、エンドユーザーだけではガバナンスを効かせた運用はできない。ルールを守れるようにするシステム基盤を情報システム部門主導で構築した」。

 住友林業グループの情報システム子会社である住友林業情報システムは、2014年から5年間、RPAを運用してきた。2019年2月19日、日経BP主催のITイベント「東京デジタルイノベーション 2019」のキーノートセッションに同社のICTビジネスサービス部に所属する成田裕一氏が登壇し、5年間の運用を通じて分かったRPAの課題と解決策を紹介した。

住友林業情報システム ICTビジネスサービス部の成田裕一氏
(撮影:新関 雅士)
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 まずは2014年~2015年にかけて、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)チームでRPAを試験的に利用した。採用したRPAソフトは、RPAテクノロジーズの「BizRobo!」だ。使ってみた結果、エンドユーザーでもRPAロボットを開発できることが分かり、26業務で1カ月当たり180時間の作業時間を削減できた。ロボットの開発面で課題として見えたことは「Excelマクロよりも難しいので、モチベーションがないと続かない」(成田氏)ことである。「テクニックが必要なので、プロが1人いないと厳しい。周りに教えてくれる人がいないと簡単なことしかできない」(成田氏)。

 業務への適用性については、「業務を選ばないが、業務の完全自動化はハードルが高い」と成田氏は指摘する。BPOチームの作業で言えば、全体の2割を自動化できた。ある1つの業務は、56個の作業工程のうち40工程を自動化できた。「業務の一部を切り取って自動化するという考え方が大切だ。業務目線ではなく作業目線で自動化する」(成田氏)。

 2016年~2017年にかけては、グループ会社に利用を拡大し、実証実験を通じて実際の運用にあたっての課題を抽出した。この結果、エンドユーザーだけではガバナンスを効かせた運用は難しいという知見を得た。ルールを示すだけではだめで、ルールを守らせる仕組みが必要だという。また、RPAロボットの継続的なメンテナンスもエンドユーザーには難しいことが分かった。座標を認識して動作するRPAソフトなので、画面が変わると動かなくなってしまう。

 成田氏は「RPAの企画と開発はエンドユーザーでもできるが、RPAの適用範囲を全社規模に拡大させる場合、RPAの運用と維持はエンドユーザーには厳しい」と指摘する。こうした知見をもとに、2018年からは情報システム部門が主導して、RPAを運用するためのシステム基盤を構築した。

 構築したRPAのシステム基盤は、各種のミドルウエアを組み合わせている。JP1のジョブスケジューラ、実行状態の監視ソフト、ロボットを実行するためのポータル画面などを利用する。Excel操作を自動化できるソフト「xoBlos(ゾブロス)」も活用する。開発とメンテナンスの面では、RPAロボットを部品化する基盤を作り、部品を組み合わせてロボットを開発できるようにした。例えば、Web画面1つにつき1つのロボットを作った。