「ISSCC 2019(International Solid-State Circuits Conference 2019)」(2019年2月17~21日に米国サンフランシスコで開催)のセッション17「Technologies for Human Interaction & Health」に、ソニーのエンターテイメントロボットである「AIBO」と「aibo」の開発の携わった藤田雅博氏が登壇した。同氏は「AI x Robotics:Technology Challenges and Opportunities in Sensors, Actuators, and Integrated Circuits」というタイトルで招待講演(講演番号 17.1)を行った。

 藤田氏は、AIBOやaiboに使用されている、センサーやOLED(有機発光ダイオード)といったデバイスから、SLAM(地図化)や、本能制御、全自律化、もの・人認・音声認識といったシステムにわたる最新技術を解説。さらに、ロボティクス技術の歴史から将来展望などを話した。盛りだくさんの搭載技術と、その高い完成度、さらにロボティクスの展望に、多くの観衆の強い関心を集めた。また、デモンストレーションセッションでは、aiboの実機動作展示があり、多くの観衆に囲まれて非常に盛況だった。

 同じセッション17で、米University of California, Berkeleyは、体内に移植できる0.8mm3とういう超小型の神経信号センシング通信システムチップを発表した(講演番号 17.5)。このチップは、外部からの超音波を受けて、神経信号を読み取るLNA(ローノイズアンプ)用の電力を生成する。さらに、超音波のバックスキャッタリング(反射波の変調)を利用することで、深度5cmの領域の生体神経信号を返信する方式を初めて導入した。LNAは、20mVppの入力範囲にわたって-44dBの全高調波歪(ひずみ)率を示した。内部に発振器を持たず、電力も外部から供給されるため非常に効率の良いシステムを期待できる。

 また、米University of California, San Diegoは、初めて磁気結合方式を使った低経路損失の人体通信用トランシーバーチップを発表した(講演番号 17.6)。送信チップと受信チップは、それぞれ18.56μWと6.3μWと超低消費電力ながら、5Mビット/秒の信頼性が高い通信を行えることを実証した。スマートフォンからイヤホンに無線で音声信号を伝送するシステムのアプリケーションとして実用化が期待できる技術である。

 さらに、韓国カイストゥ(KAIST)は、拡散光トモグラフィーと電気インピーダンストモグラフィーを同時に撮像できる携帯用システムチップを発表した(講演番号17.7)。このチップは3gと軽い。2つのシステムチップを同時に使うことで、皮膚の深さ情報を取得でき、皮膚腫瘍(皮膚がんなど)の良性・悪性の診断が可能になる。超小型ながら、7ps/フレームと高速で、かつ0.5mmの高分解能の診断を実現できるという。このセッション17で人と関わるチップが多く発表されたように、ロボット産業やAI技術を使用した産業の発展に伴い、今後、人とのインタラクションのための技術の需要が大きくなってくると思われる。

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