プロセッサー/デジタル回路とその低消費電力化技法を専門とする筆者の視点で「ISSCC 2019(International Solid-State Circuits Conference 2019)」(2月17日~21日に米国サンフランシスコで開催)における重要トピックを3つ挙げると、第1はAI/ディープラーニング技術が目的から手段の1つとなったことである。例えば、この技術を組み込んだ自動運転向けSoCを東芝デバイス&ストレージが(講演番号 7.2)、ロボット向けSoCを米Intelが(講演番号2.4)、それぞれ発表した。

 第2の重要トピックはTime Domain演算回路の流行である。米University of Minnesota(講演番号2.5)、米Georgia Institute of Technology(講演番号14.1)、米University of Texas(講演番号14.4)、米Northwestern University(講演番号 19.7)が発表した。

 第3の重要トピックは、昨年(2018年)のISSCCで発表された統合FCLK/VDD制御技法に重要な進展があったこと(関連記事)。具体的には、消費エネルギーが最小となる動作点(FCLK、VDD)をリアルタイムに見い出し、その(FCLK、VDD)点での動作を維持し続ける適応制御技術を米University of Washingtonが初めて発表した(講演番号 19.1)。

 これら3つの重要トピックのうち、第1と第2は密接に関わっている。バッテリー動作のロボットやファンレス実装の自動車に向けて、画像認識などの機械学習や経路探索、軌道計画等の演算を低消費電力で行うためのTime Domain型演算回路が提案された。Time Domainとは、演算数値の表現として1ビット信号のパルス幅(=時間)(いわゆるPWM)を用いて加減算や乗算を行うものである。従来の8ビットとか16ビットとかの2進数による演算に比べて0/1信号振幅回数が少なくなり、さらなる低消費電力化が期待され(図1)、プロセッサー分野で注目を浴びている。

図1●Time Domain方式の利点。米University of Texasの資料(講演番号14.4の資料)を元に筆者がアレンジ
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 第1と第2のトピックに関する詳しい内容は別の機会、あるいは別の著者の方に委ねることとして、以降は第3のトピックに関して概説をする。

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