デンソーの理事・先端技術研究所 所長である川原伸章氏は、「日経 xTECH EXPO 2018」(2018年10月17~19日、東京ビッグサイト)で、高度運転支援、自動運転におけるAI技術開発の状況や課題ついて講演した。

講演するデンソーの川原伸章氏
(撮影:菊池 一郎、以下同じ)
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 川原氏は自動運転システムの全体像を次のように示した。センシングによって環境を認識する。一方で、車速、操舵角、加速度センサーなどによるデッドレコニングとGNSSの衛星電波、そして高精度地図を組み合わせて、自己位置を推定する。環境認識と自己位置推定の結果から、自動車の軌道を計画し、その軌道を追従するよう自動車を制御する。これが自動運転システムの全体像であり、AIは、環境認識および自己位置推定の結果と軌道追従の間をつなぐ「判断」部分を担っていくものだという。

 デンソーではAIの三種の神器であるアルゴリズム、機械学習のためのデータ群、計算機に加えて、それらで構成されるAIを半導体に落とし込み、車載品質で実装するところまでを自動運転向けAI技術の主要要素と捉え、5つのチームで開発を進めている。

 現在は新しいAIシステムを車載機器に実適用することを目指して研究中だ。例えば、ディープラーニング(深層学習)を用いた外界認識では、カメラが捉えた画像からクルマや歩行者、建物、信号機などを認識する。従来はクルマならクルマ、歩行者なら歩行者のための識別機がそれぞれに必要だったが、ディープランニングではこれらを一気に識別できるという。また、距離情報も合わせて認識でき、3次元的な外界認識が可能になってきたとする。

 講演では、隣の車線に合流する際のアルゴリズムも動画で紹介。周りのクルマの挙動を見て、入れそうなら入るという人間のドライバーがするような制御が可能という。従来はあらゆるシナリオを用意して実現する機能だったが、新しいAIでは衝突の可能性をシミュレーションすることで実現している。動画では、ウィンカーを出して車体を右へ寄せたものの、右車線の後ろから来るクルマが譲らないので、先に行かせてその後ろへ付く形で合流するさまが見られた。

 同様に、対向車とぶつからないよう右折するアルゴリズムも、機械学習で作り出している。ありとあらゆるデータを用意し、AIがそれを元にシミュレーションをくり返す。ぶつからずに右折できたときに報酬を与えることで、ぶつからないパスをAIが自分で学習するという。「開発のスピードがずいぶん速くなっている」と川原氏は実感を語る。デンソーは、このアルゴリズムを実車に搭載。道路上での実験を進めている。

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