「人工知能(AI)技術を利用して生産ラインの最適稼働を実現できた。今後は工場全体、さらには複数工場の最適稼働を目指す」――OKIデータ生産統括本部LED統括工場生産技術部第2チームチームリーダーの新井保明氏と、同社HW技術本部要素技術センサーコンポーネント設計第1部第1チームチームリーダーの谷川兼一氏は「IoTとAIによる高効率生産を実現、OKIデータの挑戦」と題して講演。LEDプリンターに用いるLEDモジュールの生産工場である同社LED統括工場(高崎市)での取り組みを紹介した(関連記事1関連記事2)。

 講演前半は新井氏がOKIデータの統合生産管理システムOPTAS(同社は仮想インラインシステムと呼ぶ)について紹介。国内拠点、海外拠点をまたいで実績のリアルタイム集計を可能にし、トレーサビリティーを確保するシステムである。データを収集、分析することにより、工程の待ち時間の削減や、手順の見直しが可能になっているという。さらに、半導体ウエハーの材料から、そこに作り込まれるLEDチップ、そのチップを使ったLEDモジュール、それを使ったプリンターに至るまでのトレーサビリティーを確立。システム導入前と比べ、トレースにかかる時間が100分の1になり、不良を減らす方策を検討しやすくようになり不良率は70%低減したという。

OKIデータ生産統括本部LED統括工場生産技術部第2チームチームリーダーの新井保明氏
OKIデータ生産統括本部LED統括工場生産技術部第2チームチームリーダーの新井保明氏(撮影:菊池 一郎、以下同じ)
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LEDモジュール生産ラインを自動化

 そのOPTASをベースに実現したのが、AIを用いたLEDモジュール生産ラインの自動化。これについては谷川氏が解説した。自動化の背景として同氏は人手不足を指摘。クリーンルームにあるラインであるため防塵服を着ていかなければならないなど、担当者がラインで就業すること自体にハードルが高く、無人化できればその分の人材は他で活躍してもらえる。

OKIデータHW技術本部要素技術センサーコンポーネント設計第1部第1チームチームリーダーの谷川兼一氏
OKIデータHW技術本部要素技術センサーコンポーネント設計第1部第1チームチームリーダーの谷川兼一氏
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 自動化に伴って技術者の工数は増加しがちだが、それは極力防ぎたい。そこで、世の中で使えるものはなるべく使う方針で装置を内製化。具体的にはロボットは双腕型の「NEXTAGE」(カワダロボティクス)、これにモーションボード、アクチュエーター、計測器、カメラとマイコンを組み合わせた。ソフトもオープンなライブラリーを使うなどして自製した。

 LEDモジュールの工程は、チップ上にレンズを形成、ハウジングを組み付けて固着し、機能検査を経て完成する。これらの工程を個別に自動化する装置を製作した上で、装置間のワーク搬送をロボットに担わせる。このロボットに動きを指示するためにAIを利用した。谷川氏はこれを「作業の自動化」と呼ぶ。

 さらに、AIに学習させる仕組みが必要になる。ところが実ラインを動かしてその結果をフィードバックするのでは時間がかかりすぎる。そこで、コンピューター上に仮想的にラインをつくり、AIの指示による結果を高速に得る仕組みにして、本来なら2年間かかるような学習を5分間で実行させた。この仮想的ラインも手作りしており、実体はワークの流れを再現するフローシミュレーターという。

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