「システム刷新プロジェクトの成功の鍵は2つのPM。我々の造語だが、プロジェクトマーケティングとプロアクティブマネジメントだった」――。日本航空(JAL)の西畑智博執行役員は2018年7月11日、「IT Japan 2018」(日経BP社主催)の特別講演に登壇し、同社が2017年11月に実施した旅客系基幹システムの刷新が成功した背景についてこう述べた。同社は「IT Japan Award 2018」でグランプリを受賞している。

「IT Japan Award 2018」グランプリに輝いた日本航空(JAL)の西畑智博執行役員(右)
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 同社は航空券の予約・発券などを担う情報システムとして、米IBMのメインフレーム上で動く「JALCOM」を1967年に稼働させ、拡張を繰り返しながら50年間使い続けてきた。「これが止まると飛行機が飛ばない、基幹中の基幹システム」(西畑氏)だが、運用が長期化するなかで事業規模の拡大にシステムの処理性能が追いつかなくなっていたり機能拡張が難しかったりといった課題が顕在化。競合他社に対する競争力に影響を及ぼす状況に直面していた。

 同社は2010年の経営破綻直後にJALCOMを含む情報システムを刷新する方針を決定。スペインのアマデウスが提供するクラウドサービス「Altea」を導入し、2017年11月に切り替えを実施した。7年以上の年月と約800億円のシステム投資を投じた一大プロジェクトだ。

今回の「SAKURAプロジェクト」のロゴ付きTシャツを着用し、特別講演で熱弁を振るう西畑執行役員
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 西畑氏が挙げた成功の鍵の一つである「プロジェクトマーケティング」は、システム刷新プロジェクトについて社内外にきめ細かく情報提供するマーケティング活動を指す。大規模なプロジェクトで関係者が多いうえ、現場にとってはAlteaのシステムに業務を合わせる必要もあり、ともすれば関係者の間で刷新に向けた理解や協力を得られない恐れもあると西畑氏は懸念を持った。

 そうした事態にならないよう、プロジェクトメンバーや関係役員・部長には1~3カ月ごとに定例の会議を開いて進捗状況を共有。国内外の空港やパートナー企業には西畑氏が自ら訪問して刷新の意義を説明して認識をすり合わせた。さらにシステム刷新プロジェクトに「SAKURAプロジェクト」という名称を付けてロゴも作成。それを付けたフラッグやTシャツ、のれん、名刺大のサンクスカードなどを作成。デザインの力も借りてプロジェクトの認知を広げ、経営陣や関連部署を巻き込んでいった。

プロジェクトの成功の鍵は2つのPM、すなわち「プロジェクトマーケティング」と「プロアクティブマネジメント」だったと振り返る
(出所:日本航空)
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